倭国とアス様①
「レオン君は父君の血の方が濃い様だね。よかった」
和食を堪能し、食後の緑茶をこくこくと飲んでいると玄武様が言った。
ちなみに、私以外の家族は緑茶を一口飲んだ後、湯のみを静かに円卓に置いていた。美味しいのに。
「どうして『よかった』のですか?」
兄が首を傾げて玄武様に問いかける。
「私達皇族はね、未だにこの世界では異分子なんだよ。全員がそうではないけどね。でも、時々勇者の血を濃く継いだ子が生まれる。そういう場合は、生まれ出た時にアス様と繋がる必要があってね」
「ヴィヴィシュアナも生まれた時に私と契約しているのよ」
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アス様は、紫蘭皇女がランヴィドール王国に嫁ぐ事が決まった時、いずれ生まれる子どもが勇者の血を濃く継いでいたら自分の力が必要になるだろうと思った。
遠い土地に嫁ぐ愛し子の為に、土の精霊の力で玉を作り上げた。
紫蘭皇女が倭国を出立する時、手渡した玉には遠く離れていても必要な時には互いに干渉出来る様にと魔法を施した。
ヴィヴィシュアナが誕生した日、紫蘭に抱かれた赤児はアス様と繋がることが出来た。
赤児はランヴィドール家の光の加護と、倭国皇家の勇者の力を身に宿し成長していった。
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「リアンちゃんは……どう見てもうちの血の方が強そうなんだけど、よく今まで無事だったね?」
「え? 私が危険ってことですか?!」
「いや、危険というか、何で無事なんだろうね? アス様との契約が無かったら生まれ落ちても一日保つかな?て感じなんだけど」
なんですってーーーーっっ?! そんな怖い事をさらっと言うの止めてください!!
ちなみにそれって今は大丈夫という事? これからも無事に生きれる!?
「そうなのよね? レオンはシューナの風の力を濃く継いだみたいだから、私の愛し子の血が薄くて影響が出なかったみたいだけど……リアンは………」
突然黙ってしまったアス様は、私を凝視したまま動かなくなってしまった。
目を外らしたいのにアス様の目力が強すぎて外らせません………おばちゃんは気が弱いんです……誰か助けてぇ。
「―――あら? これは……リアンの中に別の異世界の気配がする、かしら?」
アス様の言葉を聞いた途端、ぴき、と全身が固まった気がした。
視界に入ってないが多分うちの家族も同じ状態になっていると思う。
別にここに異世界転移させられた人が居るんだから、彼らに私のことが解っても大丈夫と思う。
けど、家族会議で『リアンの事は家族の秘密という事で』と話し合っていた。
この世界、昔からの文献を捲れば、意外と『異世界』の話が見られる。
ただ、これにも珍しいスキルと同じような対応を国がしてきたそうで『気づいたら国に囲まれていた』という状況になっていたらしい。
スキルと違って鑑定眼で見ても分からないから、余程のドジを踏まなければ気付かれずに隠して生きていける。
ならば、隠しておこうよ!となっていたのだが……。
それなのにぃ、こんな直ぐにバレるなんてぇ、思ってなかった!!
…ひ……冷や汗がぁ流れるよぉ。
読んでいただきありがとうございます。




