倭国の勇者①
ご飯がザ・和食に見える………。
漢服、円卓(しかも中央にくるくる回るアレあり)、とくれば『ご飯は中華?!』て思うじゃないですかぁ……。
酢豚…八宝菜……回鍋肉………エビチリぃ。
「リアン、どうしたの?」
兄の優しさが身に染みます。
大丈夫だよ、兄。妹の食い意地が張ってるってだけだから。
でも、口に入れたら懐かしい味で幸せになったからさっきの落胆は取り消します!
味噌と醤油だ!! まともな和食だっっ 異世界でよくある様なエセ和食じゃない〜。
これは昔、異世界転生してきた勇者さんのお陰かな?
「あぁ、そうだよ。でも、正確には勇者って異世界転移でこっちの世界に来たんだよ」
玄武様が、さらっと言う。
「うん、つまり無理矢理拉致られてきたんだよね。『世界の理』って奴に、私のご先祖様は」
えぇ〜と、なんだか『世界の理』さんに思うところがあるのかな? 笑顔が怖いです。
「元々、この世界とは違う次元で生きていた人が魔力やらが溢れる世界に放り出されたんだから堪ったもんじゃないよね?」
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『世界の理』はこの世界の創造主的な存在。
自分の生み出した生命を慈しみ見守っていた。
しかし、いつの頃か負の感情の存在が静かに誕生していた。
自分の手から離れた場所で生まれた闇なる存在は、人の内から誕生した。
即ち、闇の創造主は人。
創造主が、別の存在が作り出した創造物に干渉、ましてや手を出すことは禁忌。
存在を消すことは許されない。
なのに自分の愛した存在が、人族自ら生み出した闇に飲み込まれそうになっている。
昔の人族には闇という存在に勝てる様な力はなく滅亡の一途。
救う手立てを模索するも、魔力を持つ獣族は闇側についた。
獣族の中でも知識がある者たちは魔族となり他の者達も力ある魔獣へと進化していく。
聖霊王を頂とした精霊族は『世界の理』が生み出した愛し子だから、準ずる者として多少の抵抗は出来るが、闇を滅ぼす様な大事はやはり禁忌として扱われる。
唯一、魔族達に対抗できるのは闇の創造主である人族。
だけどこの世界の人族に魔族に対抗する力はない為、『世界の理』は模索し決意する。
『次元に綻びがあって、偶然、間違えて別の世界の力がある人族が落ちて来るのはしょうがないよね?』
いろいろな世界を巡り、一つの惑星に目をつけた。
魔法はないが科学が進んだ星の人族の知識に惹かれた。
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勇者として世界を渡らせられた皇冬夜は、一晩中森の中を彷徨っていた。
暗闇の中で、足を進める冬夜の心は恐怖と混乱と怒りが渦巻いていた。
「何なんだよ!? 何で俺がこんなことに!!」
勇者ってなんだよ?! 突然、訳の分からない世界に放り出されて『世界を救ってくれ』?
何の力もないただの高校生に何ができるって言うんだ!
『世界の理』が干渉し、転移させたと知られてはならない為に転移者にはメッセージを伝える事しか出来なかった。
まさに、冬夜は未知の世界に何もない状態で放り出されていた。
「あのメッセージ送ってきたヤツ、許さん……」
怒りの感情をぶつける相手がどの様な者なのか分かる筈も無いが、こうでもしなければ自分はとまってしまうと無自覚にも感じていたようで、口に出しながら歩き続ける。
町……とまでは言わないが、せめて家か人を見つけたい。このままでは……と、嫌な想像が頭をよぎる。
突如、冬夜の胸がきりきりと痛み出した。
動く事で出る汗ではない……全身が軋み、痛みに悲鳴をあげ始めた冬夜の身体に冷たい汗が流れ始めていた。
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