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二度あることは三度ある

 瞼を開ける。天井が目に入ってきた。

 どうやら私は横になっている様で…顔を動かして周りを見る。リアンの部屋のベッドに横になっていると分かった。


 やわらかな木の温かさと、桃色の小花柄の可愛い壁紙、大好きな鳥のぬいぐるみ(大量)が置かれた子ども机、棚には数冊の絵本が並んでいる。


 私は、ふかふかの桃色の布団に包まれて寝ていた。


 一眠りし、前世と現世の記憶が自分の中で綺麗に混ざり合い『ストン』と収まった。


 だが、どちらかと言うと、前世の記憶に現世の記憶が引き寄せられている感はある……これは単に人生の長さ、体験量なんかの差なのか。でも、きちんとリアンの3歳なりの記憶だってある(リアンの大好きな家族との思い出も思い出せているし)


 ……ところで…私はどうやって家に帰ってきたの? 記憶がないけど。




 ………そう…確か。


 私の頬についたであろう傷に母がキレまくり。怒気を纏わせたまま仮想敵に殺気を飛ばしまくって今にも戦闘態勢に突入か!?という様にどうしたものかと頭を傾げた。


 私としては情報収集も兼ね、母には怒りを収めていただきたい。できれば話を、と思ったので。


「え〜とぉ、おかぁさん、あたし、だいじょうぶなのよ?おちついて?」


 と声をかけてみた。………おばちゃんの記憶があるのに、どことなく喋りがぎこちない、ともすれば舌足らずになりそうな……という、ちょっと精神的ダメージ・小を受けつつも頑張った………が、全く届いてない様で。


 男の子はというと、そんな母に対して『言わなくちゃ……』と瞳と頭が右往左往し汗をかいているのだが、なかなか言い出せず口をパクパクしている。

 残念なことに、母は男の子の様子に一切気づいておらず……瞳に涙を潤ませたままオロオロとしている。

 そんな男の子を見ながら私はというと不謹慎にも。


『くぅ〜! か〜わ〜いぃ♡』


 キュンキュンされていた!


 まぁ、そんなこんなで、どうにもこうにも収拾がつかなくなってきた為、私は「よっこいしょ」と立ち上がり、少し離れていた母と話そうと駆け寄った。


 あとちょっとで、母のスカートに手が届く!という所で足元がグニャリと揺らいだ。



「あ……」



 息が漏れるように、ふっ…と声が出た。そして、そのまま全身の力が地面に吸い取られていく様に抜けていき、フワッと膝から崩れていき前に倒れていく。

 薄れゆく意識の中で目にしたのは、私の様子に気づいた男の子が、名前を叫びながら私に向かって手を伸ばし駆け出してくれている姿。


『あぁ、男の子の涙うるうる顔が……可愛いぃ…』


 ちょっと的外れなことを考えていたら重く感じていた瞼が閉じていき、そのまま意識を失ってしまった―――。






 その後の事は分からないが……私がここに居るということは母の暴走は一先ず収まったのか?


 布団から腕を出し、上に挙げ手指を折り曲げて…グッパーグッパー。力、入る。痺れもない。よしっ。足の指先をグニグニと動かしてみて……うん、足も大丈夫そう!!



 ……よかった。力が抜けるという経験は、前世でも無かったからビックリした。


 腕に力を入れてベッドから体を起こす。

 うぅ、ちょっと体が怠いぃ…。

 外を見ると、太陽が高い位置にある。お腹の空き具合もみてお昼前後というところか?


 喉も渇いているし、この時間ならきっと母が台所に居るはず。


 起きたことを知らせる為にも行こうかなぁと、ゆっくりとベッドから降りる。

 うん、ふらつかない! 一歩前に歩む。よし、大丈夫!! 行こうっと扉に向かって歩き開けようとしたら『ガチャ』とノブが回った。


 お?と思った瞬間『ガン』と顔とお腹に衝撃がきた。なぜなら、私は幼児体型!!

 ………なんてね、痛みを誤魔化す為に笑いに持っていこうとする、けどね……。




 もう、ね。本当に痛いぃぃ………。

 

『二度あることは三度ある』



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