出立の時①
以前話にも出た『兄と私が同年代との交流が無い』ことを気にしていた両親のお話。
正直、私はそこまで気にしていなかった。
なんとなくだけど、私には前世分の記憶もあるしコミュ力は少しはあると思ってる。
どうやらこの世界の人達は比較的のんびりな様で。ならば私も、交流はとりあえず横に置いといて、のんびり暮らせる方がいいな、と。
ただ、兄は今年で13歳になる。
これまた以前の話でもあったが、12歳で精霊と契約を結ぶ儀式をする。
無事に『精霊の友』になれた学生達は、王立魔法学園中等教育科で三年間さらに鍛錬を積む。その後は専門性を高める為に高等教育科で三年間学ぶ。
時々、魔力測定時に検知されなかったけど突然の魔力覚醒が起こる人もいて魔法学園に途中入学する事も一定数あるらしい(国の囲い込みが半端ない……こわい)。
今はちょうど入学手続きの時期。ならば、そんな人達に紛れて入学するのも有り?なんて考えたんだけど。
でも、入学するなら身分証明が必須、なんだよ……。
じゃあ、学園行かなきゃいいじゃない?とも思ったんだけど、もし、人と暮らしていく中で魔法が使えることが知れたら? しかも学園にいた形跡がない―――と、バレた時は問題になってしまう。
下手したら『あなた【裏】の関係者かしら?』なんて、怪しい組織に組みしてるんじゃないかって疑われてしまう可能性も。
ダメ!! うちのお兄ちゃんは潔白です! 真っ白すぎて光に透けちゃうぐらいなんです〜っ
あと、兄の契約している精霊が上位だし、魔力量が(エアル様と魔法使って遊んでる間に)規格外になっているから、知られるのも大問題で。
上位精霊って、滅多に会えないお方で精霊王と同じ位に御伽噺な存在となってる。
まず、人と会話が出来る人形の精霊と契約できるだけでも凄い事なんだって(中位とか下位の精霊さんは動物さんっぽい子が多い)。だから、知られたら絶対に兄は目をつけられる。
―――という事で、こっちをしようとするとあっちが都合悪く、じゃああっちを立てるとこっちが……という三竦みな状況となってしまっていた。
そんなある日、イグニスさんがぽろっと言った言葉に『あぁ〜! その手があったかぁーっっ イグ、ありがとうっっ』と父がめちゃくちゃいい笑顔を向けていた。
イグニスさんは「ぃ、いや。役に立ったんなら、よかった、うん」と、頬をほんのり赤く染めふいっと顔を背けていた。うん、かわいい。
話がちょっと逸れたけど、その様な事情があって今、兄は『隠蔽』というスキルを磨いている。
隠蔽は『自分のステータスを提示(勝手に見られる時もあるけどね!)する時にちょちょいと都合の悪いところを書き換えて他人に見せる事が出来る』スキルだそう。
とはいえ『鑑定眼』なら隠しているモノを暴けちゃうんだけど、相手のレベルが高いと見破れない。なら、スキルのレベル上げをしたらいいんじゃない?となった。
でも、国に囲まれてる彼等のスキルレベルがどの位かは分からない。最低ラインを知ってた方が良いだろうと父が調べてくれている。ありがとう、父!!
―――と、ここまでは兄の事を言っていたけど………。
うん。私も人のこと言えなかったりするから、ちょっとのんびりは横に置いといて頑張ろうかな?
読んでいただきありがとうございます。




