『真名』②
本日二話投稿しております。
文章をまとめる能力が欲しいです…。長くなってしまいましたが、よかったら読んでください。
「あぁ、そうか。それも話さないとか……」
末の精霊王であった風の王を慈しんでいた聖霊王は、魔族によって闇堕ちさせてしまったことを悔やみ、嘆き、自身の不甲斐なさに苦しんでいたと。だから助けたかった。でも、聖霊王が人の世の流れを変える様な力を振るうことはこの世界の理が許さない。
精霊界と人界の線引きは明確にあり、風の王を助ける為の力の介入は強大過ぎて、実行する事は世界に歪みを生じさせてしまう。
どうにも出来ないことに自身の無力を感じ、聖霊王の悲しみが、世界を覆っていた神聖な力を弱めてしまった。
結果、魔族の力を御す事が困難になってしまい、更に世界は闇に覆われるようになった。
それから、約60年後、宵闇姫によって救われた風の王の気配を感じた瞬間、聖霊王は愛し子の元に馳せた。
そこには、姿は以前と変わらないのに心の傷に耐えられず、只々涙を静かに流す愛し子の姿があって………そして、横に寄り添う様に居る存在に気づいた。
自分に近しい力を持つ者。
『この者が………そうか…其方が救うてくれたのか』
我の愛し子を救うてくれた聖女―――聖霊王の頬に一筋の光りが伝って大地に落ちた。
雫は、森の中で湖となり周囲は光に包まれた。
愛し子の肩が『ぴくり』と揺れたのが聖霊王の目にとまる。
―――あぁ、我に気づいてくれたか――と、ならば……と、聖霊王がふわりと微笑む。
そして、目を閉じると口端をきゅっと結ぶ。僅かの時間だったが聖霊王は愛し子に言わねばなるまいーーと、ゆっくりと目を開けた。
『……風の民の王――いや、元魔王と呼ぶべきなのか? 我にも理解出来ぬ存在と成り果ててしもうていた様じゃ』
何も捉える事のない、焦点の合わない霞んだ瞳だけがゆっくりと所在なさげに右に左にと彷徨う。聖霊王は愛し子に、重ねて言葉をかけた。
『其方は償わねばなるまい。この世を、数多の尊き生命を闇に染めてしもうたのじゃから……』
見る間に愛し子の瞳は滴に覆われた。
『この地はこのままにはしておけぬ。闇の魔力が色濃く残る地はまた似た惨劇を起す。浄化が必要じゃ』
愛し子の頭が小さくこくんと縦に揺れる。
『この地の浄化は其方への罰じゃ。二度とこの様なことが起きぬ様、闇の力を一欠片も残すでない』
そして、聖霊王は寄り添う聖女に問いかける。
『聖女よ。我にはこの世に関わることが出来ぬ楔がある故、其方一人に重荷を背負わせてしもうた。許せ』
「聖霊王様、私は聖女であると共に『勇者』でもあるのです。少々、この世の理とやらを聞き齧っておりますので、私にその様なお言葉は必要ございませんわ」
聖女は花も綻ぶ様な笑顔を浮かべながら聖霊王に伝えた。
『――わかった。では、少々この世のことを聞き齧っておる勇者殿に頼みたいことがあるのだが?』
「私に叶えられる事ならば、何なりと」
こほん、と聖霊王が小さく咳をし口を開く。
『我の愛し子はまだまだ子どもでのう。どうも一人でこの闇を祓えるか……些か不安なのだ。出来れば、聖女であり勇者でもある其方に側におって欲しい、とな。だが、国には其方の身を案じ待っておる者も居ろう?無理にとは言わぬが………如何だろうか?』
申し訳なさそうな聖霊王が聖女には可愛くみえた。そして、愛し子と呼ばれたこの元魔王は聖霊王から本当に心から愛されているのだと分かった。
聖女は羨ましく思った。
私にも、この様な存在が欲しかった……と。いや、今は自分の事ではない、と思考を切り替え、聖霊王に答えた。
「喜んでお受けします。それに気遣いはいりません。私の事を心配してくれる人はもう居ませんし、何より私が国に帰りたいと全く思っていないのですから!」
聖女の口から飛び出した言葉に一瞬驚くが、すぐに気遣っての言葉なのではないか……と考えた聖霊王は瞳を覗いた。
どうやら本心から出た言葉の様だが此処まで人の世に未練を無くすものだろうか?と不思議に思う。だが、そうまで言うのなら気遣う必要はないのであろう、と聖霊王は愛し子のことを頼んだ。
これより、風の王と聖女、二人の浄化が始まった―――。
―――そうして、いつしか二人は互いを愛しむようになり、兄と私が生まれた。
あ、兄が生まれたって分かった瞬間、聖霊王様が祝福の為に飛んできたんだって。
………アレだな。遠方にいるおじいちゃんだか、おばあちゃんが孫見たさに飛んでくるという。うん、まさしくアレだわ。
あ、話が逸れました。
まぁ、つまり、父は母に『真名』を捧げて。いつかこの世から肉体が消えても二人の魂は傍らに、常にあるんだって。
両親は永遠に『らぶらぶ』ってことかっ
あ、兄とエアル様も『らぶらぶ』ですよね!!
………私もらぶらぶの相手できるかなぁ〜。




