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『最強』イコール『兄とエアル様』

「五月蝿い」


 一刀両断された火の精霊王・イグニスが父に家から放り出され、


「おい!! それがずっと心配していた人にする対応かっっ?!」


 と、扉をがんがんと叩いている。


 あ〜、うるさいなぁ。連れてくるの早まったかも……。


「お父さん……ごめんなさい。そんなに嫌いな人って思わなくて」


 私の声が扉外にも聞こえたのか、ぴたっと音が止んだ。


「いいんだ、リアン。気にしなくていいから。それに嫌いという訳ではない」


 父の声が聞こえたのだろう。扉外でしゅぱっと動く音がする。多分、キラキラ目になってるんだろうな。


「鬱陶しいと思っているだけだ」


 あ、イグニスさん、なんか背後に『がーーーーんっっ』ていう効果音を背負ってそうだな。ま、いっか。


「そうなんだ! じゃあ、別に放っといても大丈夫だね!!」

「そうだな。何ならリアンも一生関わらなくて良いぞ」


 二人でにっこりうふふと微笑み合っていると、エアル様が渋顔でふよふよと側に寄ってきた。


「………我が王。それぐらいにしなされ。――イグニス様は本当に王の事を案じておられたんですぞ」


 エアル様に言われた父は少々バツが悪そうに眉を寄せ、ぷいっと顔を背ける。


「………分かっておる」


 なんか父の反応がカワイイのですが?

 エアル様の言葉は素直に聞いちゃうんだね〜。


 父が「……くっそ」とぼそっと呟くと、聞き漏らさなかったエアル様が冷気を伴う低っくい声で「我が王?」と言った。


 ビクつく父の様子にクスッとなった私だったが、思い掛けずこっちにも火の粉が飛んできてしまった。


「聡明なリアン様も、イグニス様の想い、ご理解された上でのお言葉なのでしょうね。ふふ」

「………」


 父と一緒になってイグニスさんを揶揄ってスミマセンでした……と言うと、エアル様は溜息を吐いた。


「そのお言葉はイグニス様にお伝えくだされ。――ではリアン様、イグニス様のお好きなお飲み物を準備致しましょうぞ。我が王は、イグニス様のお迎えを」

「「……はい」」


 


 


「イグニス様と仰るのですね。僕はレオン・ツァルクと言います。昔、父がお世話になった方だと伺いました! これからは一家でイグニス様とお付き合いできれば嬉しいです。どうぞよろしくお願いします!!」

「!!! 勿論だっっ 幾らでも俺を頼れ!」


 むっちゃイイ笑顔で意気投合しているイグニスさんとお兄ちゃんが眩いです。



 ちなみにイグニスさん。家に来る前から人型です。

 蘇芳色の髪は硬めっぽく前髪はツンツンして短いけど、後ろ毛は腰まで長い。それを一つ結びにしている。

 父よりも背があり、筋肉質で体格も良く、褐色の肌が覗くアラビア風の服が色気のある大人な男性て感じだ。

 瞳はヘビの時と同じで父と同じ金色。少し吊り目の切れ長一重で鋭そうな雰囲気なのに笑うとやんちゃな奴が大きくなったみたいな印象だった。


 そんな男性は、先程、父が家の中に呼ぼうと扉を開けた時、両手をついて項垂れていた。


 そして、ぶつぶつと「鬱陶しい……俺って鬱陶しいのか………」と繰り返していた。



 本当に揶揄って申し訳ありませんでした……。


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