悶えます①
あぁ、幸せだったな。
家族は笑顔で過ごせてるだろうか?
思い出すと鼻が熱くなった。ジンジンしてきて思わず『スンッ』と鼻を啜る。目頭も熱い。
ゆっくりと目を開ける。
白い世界が段々と薄らいでいき、自分の手元に視線を動かす。
ーーー不思議な文字が書かれた本の表紙を見た『あたし』は自覚する。
あぁ、『私』は死んで『あたし』として生き返ったんだ。
意識が浮上する。
最期を皆に見届けてもらって。そして今、私は自分の存在を認識した……。
『これはあれなんだろうなぁ〜』と独り語ちる。
本当に。現実として。こんな事が起こるとは……。はぁ〜、びっくり。
頭の中は飽和状態。思考回路はショート寸前。
「転生かぁ………」
前世?で子ども達に薦められて一緒に観て楽しんでいたのでね、割と……割とね? 順応できているのではないかと思うのです。
俗に言う我が子達は『オタク』という方達だった。
私と主人もアツい薦めもあって、見ている内にはまった。(私は主にマンガを好んでおりました)
まぁ、でも。小説、マンガ、アニメ、ゲーム等々のうちの子達の知識が深く広くであった為、私は途中からついていけなくなった!
ーーーー我が子とはいえ、濃ゆい内容での講義ありがとう。
お陰で今、役に立っている。感謝!!
そんな覚えある沼に現在進行形で片脚突っ込んでいる今、私のこの声が誰かに届くかは疑問だが言いたい。
『ちょっっ、子どもよ! 母は…母はっ、凄いことになってますよ!!』
心は狂喜乱舞、ちょっと控え目にガッツポーズ! 興奮!!
『え、私すごくない!? ……ここドコ? 国名? 地球? それとも、異世界とか!? ……どのジャンル? チートとか悪役令嬢? 日本の常識通じるかな……どうかなぁ………』
なんて、ちょっと自分の世界に浸っていた。
そしたら『どーーーんっっ』と衝撃が!
「リアン! リアンっ!! ご…ごめんなさいっ! ほっぺに血がぁぁ〜っっ」
ガン泣き声の人が私に体当たりしてきた。ぐふっ
声の主と一緒に芝生に倒れ、後頭部に『ごつっっ』ていう、ちょっとイヤ〜な衝撃が………ホントね痛い、痛いです……。
そして、ぎゅうぎゅうに抱きつかれてしまった。あ、人肌あったかい。ふふっっ
抱きつかれる前に私の瞳に入ってきたのは、白銀のクセのないサラサラで肩に届くかという髪の毛、肌は赤ん坊のようにプニプニもちもちしてそうで、カイヤナイトの様な澄んだ蒼色の大きな瞳を潤ませている子。
ちょっと垂れ目のパッと見、『ん? 男の…いや、女の…いや男の子??』と思ってしまうくらい可愛い顔した小学生位の多分、男の子。
そして、日本人のおばちゃんの記憶が頭の中を占めていた私。
『あら。可愛いわ〜銀の髪の毛だわ〜。目も青色なのね! 外国人さん? ……あ、私、お話できるかしら? 英語も怪しいってのにぃ…』
心で呟いた。
それに、頭が痛い……ズキズキしているし。
そういえば、『ほっぺに血が』って言っていたから頬にもケガをしているんだろう。
あの『ぱしゅっ』が原因?
それとお子ちゃまにスッポリと抱き込まれてる私って……もっと小さいお子ちゃまって事?
私って一体いくつなの??
おばちゃんの転生系の知識を絞り出して考えた結果、これは転生していたけれど、何かの拍子で前世を思い出すというテンプレ。
その拍子っていうのが、さっき目にしていた本。
『宵闇姫と聖霊王』
今、ぎゅうぎゅうに抱きしめてくるこの子に押し倒される前、挿し絵と表紙文字を見た時に記憶が甦った……と思われる。
何故なのかーーー考えるが分かる筈もなく。
まぁ、今、その事を考えても駄目っぽいよねと思考を放棄する。
いや、せざるを得ない。考えた出した途端に頭がズキズキしだしたから。
とりあえず体を起こしたい。
そして、頭痛のしない範囲での情報収集がしたい!




