おばちゃんは拗ねます
あの話し合いから7日後の朝。
3歳児だからね、お話に加われないっていうのは、納得は、一っっ切してないけど! しょうがないかとは思っていた。
でもさぁ、それでも相談っていうか『リアンはどうしたい?』位の一言あってよくないですか!?
今後の話含めて聞いてない私は、家族の
『アレどうしよっか?』
『あぁ、アレは、ほらアッチに行った時にアノヒトが…』
『え!? アレってそうだったの?』
的な会話が私の頭の上を行き来しているこの状況が……ムカつく。エアンディール様までも会話に入っているのにっ
ねぇ、私むちゃくちゃ蚊帳の外だよね!?
これは前世の記憶なくてもイヤだわ。
―――私、キレていいですか?
『いいですよーー♪』 いぇーーーぃ!!
今日も4人(3人+精霊1人)は台所でお話合い。
私は食後の温かいハーブティーを飲み干すと、一人トテテと部屋に向かう。
3日目でキレた私は横がけバッグを準備した。
このバッグ、空間魔法がかかっていて面白い様に物が入る。
時間停止機能も付いてるので『冷たい物は冷たく、温かい物もそのままに美味しく頂けます』と便利な物だった。
とりあえず、春先とはいえ朝晩は冷えるから防寒着と小腹が空いた時の保存食、灯りに……と前世の防災袋もどきをいそいそと作った。
あっても困る物じゃないしね、なんて自分の心に保険をかけつつプチ家出の準備だ。
あとは……と、両親の部屋に行く。
本棚を見る。
この前は文字はまだそんなに分かってなくて、綺麗な絵本を選んだ。
今は当たり前のように読めている。
本に目を向けて目当ての本を探す。
『薬草・毒草全集』『魔物図鑑』『医学書』それと、私はまだ使えないけど『魔法学』の入門書と初級位はいいかもしれない、と鞄に詰めていく。
本棚を眺める。見事に小難しそうな本ばかりで、なんでこの中にあの絵本があったのかと不思議だ。
他にもあるのならばこんな事は思わない。
本当にあの一冊だけ、この本棚には似つかわしくない。
しかも他の本と同じように背表紙を見せる訳でなく、堂々と表が見えるように置かれていた。
『まぁ、いいか』今は一人だし考えても分かんないし、と『あとは、地図でもあれば…』と探す。
こんな時、前世のあのお電話が欲しい……。
『ヘイ!』って言えば応えてくれる私の相棒よ……って言うか、アレがあれば本も要らない? ……いや、魔物とか魔法とかは存在してなかったんだから応えられるのか??
ゴソゴソと部屋の片隅で筒状にまとめている紙を広げる。地図だ!
あぁ、やっぱり国の形が知らないものばかり。
私のいた世界とは違うんだな、と改めてだが感傷に浸る。
紙束は結構あるし、一つ二つ無くなっても大丈夫かな? 時間があれば書き写して…とも考えたけど今は無理そうだ。
世界地図っぽいのと……あとは、現在地とその近辺が分かるものを、―――はっっ!! 此処ってどこよっ!?
家族としか情報交換する人はいないし、周りは森だから目印になるもの無いし!!
今までの家族の会話でヒントになりそうな話はなかったか………。うん! ないっっ
しょうがない!! この件は諦めようっっ
あぁ、そういえば、父が時折森に迷子になった人が彷徨うと兄に話していたっけ?
確率としては低いかもだが、森に行って他者に聞くのもいいかもしれない。
地名とか聞けたら儲けもんだ!
よし! その方向で頑張るぞっ!! ……と、家出目的がちょっとズレていたが、まぁそれはご愛嬌ってことで!
―――という感じで、準備を整えた私はもうちょっと待ってみようと思った。
そこは前世分の記憶持ち。
小さい子どもに説明する前に大人(?)達でしっかりと話し合いをしてるのかも……と待機した。したよ。したけどさぁ!!
まだかよ!?!?ってちゃぶ台ひっくり返したい気分です。
ここ数日で、私の防災袋の中身は充実してきた。温かい飲み物や食べ物まで入ってる。
プチじゃなくてマジで出来ちゃうよ? 父、母。
そう心で呟きながら朝ごはんを食べ終えた私は、ローブを羽織り鞄を持って森に向かったのだ。




