普段通りの朝
その日の朝はいつもと変わらずやってきた。
太陽が昇りカーテンの隙間から光が差し込む時間、携帯のアラームにて目を覚ます。
あと10分くらい寝ていたい衝動に駆られるが、部屋の外からは美味しそうな匂いが漂ってくる。
その匂いは本能的に食欲を刺激し、眠気をも忘れさせる。
朝食の時間のようだ。身体を起こし、俺は匂いにつられて部屋を出る。
「おぉ鉄心!ようやくお目覚めかい?朝飯はできているから温かいうちに食べてしまえよ」
リビングに降りると声をかけられた。
俺は克己 鉄心
そして今声をかけてきたのが10歳離れた兄貴克己 銀二
だ。
うちは母親は俺が小さかった頃に親父と離婚して出ていき、そして俺たち兄弟を引き取った親父もまた9年前に事故で亡くなった。
兄貴は当時18歳で、そのときから俺を育ててくれた親代わりのような存在だ。
「おはよっす兄貴、ご飯サンキューね」
俺は席に着き、「いただきます!」と一言添え朝食にありつくことにする。
今日はご飯、味噌汁、焼き魚に卵焼きとベーシックな和食だ。
うん、いつもどおりに美味いぜ!
「鉄心、今日は夕方から親父の墓参りに行くからよ。学校終わったらまっすぐ帰ってこいよ」
「りよーかい。何もないなら普通の時間には帰ってこれると思うわ」
朝食を囲みながらの何気ない会話
「また喧嘩とか買ったりするんじゃないぞ」
兄貴は笑いながら言うが…それは前振りってやつじやないのか??
ほんとそうならない事を願うわ…
朝食を終えた俺は身支度を整えながら鏡の前に立つ。
うん、今日も変わらず目つき悪いな俺は…
もうちょっとバッチリ二重とかなら印象も変わるんだけどなぁ…
顔を洗い、眉も短く整えて一重まぶたに少々キレ気味の垂れ目な自分の姿を見つつ、そんなどうしようもない事を思い髪を整える
頭の両サイドは短く刈ってあるので、トップの部分だけを後ろに全部流してゴムで縛る。
もちろん学生なので髪は染めたりはしておらず、生まれた時のままの黒髪だ。
有名な不良映画の主役みたいな感じだ。
よし、今日もバッチリ決まってるぜ!
「そんじゃ兄貴、行ってきますわ」
俺は玄関から一言かけ、兄貴もいってらっしゃいという風に手を振る。
「おう、いってらっしゃい。」
学校までは歩きで20分ほど、まぁ何もないなら楽々間に合う時間だ。
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たくさんの学生や大人たちがそれぞれの学校や職場に向かっている。
俺もその中の1人なわけだが、ちょっと普通の人とは違う事がある。
「克己先輩おはようございますっ!!!」
「テツさん今日も時間どおりっすね!」
道中、同じ制服を着ている、学生達から挨拶をされる。
それ自体は別に悪いことじゃないのだが、なにぶんその学生達は風貌が少々一般ではないというか…
明らかに尖ったヤンチャであろう事がわかるような者達であった。
「おいお前ら!道の真ん中でそれはやめろっていつも言ってるだろうがよ!」
気づけば既に10人くらいの集団になっている
毎朝これさえなければと思うが、コイツらは何回言っても聞きやしない。というよりも、どのみち向かう先が同じである以上は避けることが出来ないと言った方が正しいのかもしれないが…
学校に近づくにつれて人数は増えていき、いよいよと校門に差し掛かる頃には20人くらいになっている。
まったく、大名行列かなんかかこれは…
毎朝のことにうんざりしているところで校門に立っている先生に声をかけられる。
「おい克己よ、今日もまた一段と多いなぁ!」
体格の良い髭面でジャージ姿が印象的
体育教官である岩地先生である。
「いや〜、俺はやめて欲しいんですけどね。コイツら何回言ってもきかないんすよ。先生からも言ってくださいよ、周りの人達もビックリして引いちゃうって」
「俺が言ったところで耳を貸すと思うのかお前は??」
先生はガハハと豪快に笑う。
たしかに先生の言うとおりだろう、何より結局は同じ方向から学校に来るわけだから仕方がない。
「さぁ早く学校に入れ。そこで止まっていると後ろの奴らも入るには入れないだろう?」
もうすぐ始業のチャイムが鳴るぞ、と先生に促されたところで学校に入ることにした。
「それでは先輩、失礼致します!」と後ろを歩いていた奴らもバラバラと自分達の教室に向かって散って行く。
かくいう俺も自分の教室へと向かう。
(朝からほんと疲れたぜ…あとは今日は早めに帰れればいいけどなぁ)
そんな事を考えていると始業のチャイムが鳴り響き今日という1日が始まる。




