↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
激重第三王子の暗躍無双~禁忌の闇の魔法を隠して無能を演じていたら婚約者が馬鹿にされたので王位を取って周囲を徹底的に黙らせる~  作者: 9bumi


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
7/28

第7話 お義父様!

 無事に午後の実践授業を終えた僕には、ご褒美が待っている。


「ルルア様!」

「リティア!」


 どうやら今日はリティアの方が先だったらしく、校門で僕を笑顔で出迎えてくれる。

 

 ヤバい今すぐ自室のベッドで悶絶したい……っ!


 リティアへの愛を叫びたい衝動を表情に出さないよう努めながら、僕はリティアの横に並ぶ。


「ごめん。少し待たせたかな」

「大丈夫です。さっき来たばかりですので」


 少し前に流行ったロマンス小説みたい……いいな!


「その、今日の授業は、どうでしたか……?」


 ――っ、これは明らかに心配されている……っ!


 昨日ロイク・ブレイクが余計な一言を言ってくれたおかげ、リティアに心配をかけてしまったじゃないか!


「実は、最近少しだけ魔法が使えるようになってね――」

「ほ、本当ですか……っ!」

「うん――今日の授業は何とかなったよ」


 まるで自分事のように喜んでくれるリティアに、僕はもう昇天してもいいのではと一瞬だけ思ってしまう。


 リティアを置いて一人で逝くなど、絶対にあってはいけない。


 僕はさらに安心させるために、今日あったことは嘘偽りなく語る。


「えっ、お友達ですか!」

「うん。僕に声をかけてくれたんだ」


 本当に嘘ではない、テオ・ブレヒトにはこれから僕にとって最高のお友達になってもらう予定なのだから。


「さすがはルルア様です。私なんか……」

「リティア……?」


 僕の交友関係に喜んでくれたのもつかの間、リティアがなぜか肩を落とす。


「どうしたの?」

「い、いえ、何でも。私も頑張らないといけませんね!」


 ――っ、これは……。


 リティアが曖昧な作り笑いを浮かべた瞬間、僕は自分の失態を悟った。


 どうして、配慮ができなかったのだろう。


 有力貴族の子息子女が多いAクラスには、ロイクのように意図的に近づいてくる輩に加え、リティアを成り上がり貴族の娘と蔑む者も一定いる。

 BクラスやCクラスならリティアの知り合いも少なくないのだが、優秀さが仇になってしまっているのが現状だ。


 そんな環境で友人と呼べる人間をつくるということが、いかに難しいことか。


 下手な励ましの言葉はかえってリティアには辛いと考えた僕は、他愛のない話に切り替え時間を繋ぐ。


 こういうとき、心からリティアを笑顔にしてあげられたら、どれだけ良かったことか。自分の不甲斐なさを痛感させられる。


「――あれは」


 僕と一緒に帰るため、リティアは馬車を校門の前ではなく僕の家の前に停めることにしてくれている。

 今日もそれに違わず、僕の家の前に一台の馬車が停まっているのだが、いつもリティアが使っているものではない。


「お父様――?」


 僕たちが近づいてくるのに気づいてか、馬車から一人の男性が下りてきた。

 リティアと同じ銀髪と紫色の瞳をした、端正な中年男性――お義父様だ!


「ルルア様。それにリティア。お疲れ様」

「お父様、どうして?」

「王都に用事があってね。せっかくなら一緒に帰ろうかと」

「まあ、お父様ったら」


 嬉しそうにはにかむリティアに、僕の心も自然と緩む。


「そうだ。ルルア様に少しお話したいことがあるのですが」

「何でしょうか?」

「リティア、先に馬車へ」

「わかりました。では、ルルア様」

「うん。また明日」

「また明日」


 別れの挨拶を済ませて、リティアが馬車に乗り込む。


「それで、お話というのは?」

「先ほど、ブレヒト男爵家のご長男がルルア様の屋敷に入っていくところを見てね」

「彼とは同じクラスでして、それで少し。それが一体……?」

「いやなに。これから何か私に協力して欲しいことがあったら遠慮なく言って欲しいと、それを伝えたかっただけだ」

「はあ……」

「では、私はここで失礼するよ。また今度、ゆっくり話そう」


 用件だけ簡単に伝えると、お義父様は馬車に乗り込み、それからすぐにこの場を発ってしまう。


「まさかとは思うが……」


 お義父様は僕の計画に気づいている……?


 直接確認したことはないが、お義父様は僕の能力に気づいている可能性がある。


 本人は娘の意思を尊重したいと言っているが、それだけでリティアを僕のような無能に嫁がせるだろうか。


 今までは一応僕も王族だからと納得していたが、これは――。


「また今度、か……」


 近いうち、お義父様の真意については確かめる必要がありそうだ。

 そのうえで可能なら、僕の計画に全面的に協力してもらおう。


「さて――」


 お義父様の件はこれくらいにして、まずはさっき話題にも出たテオ・ブレヒトの件を片付けるとしよう。


 邸宅へ戻ると、丁寧にマイヤが出迎えてくれる。


「お疲れ様です。ルルア様」

「客人はもう着いているな?」

「はい。広間に通してあります」

「わかった。すぐ行く」

「ルルア様」

「何だ」

「彼は一体――」

「ああ。近いうちにマイヤの同志になる男だ」

「――なるほど」


 すぐに僕の意図を理解したマイヤが得心のいった表情を浮かべる。相変わらず理解が早くて助かるな。


「せっかくだし、マイヤも同席するか?」

「――っ、よろしいのですか?」

「ああ」

「では、お言葉に甘えて」


 それから自室で着替えてから、マイヤと共に広間へ入る。


 すると、姿勢を正して座っていたテオが、虚ろな瞳を僕たちへと向けてくる。


「悪いな。待たせてしまって」

「――いえ」


 軽く挨拶を済ませてから、マイヤを後ろに控えさせた状態で僕はテオと向き合う形で椅子に腰を下ろした。


「では、今から僕の質問にすべて嘘偽りなく答えるように」

「――わかりました」


 さて、事情聴取を始めるとしよう。

 



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。