8く、すごく理不尽な前科
僕はロリ……じゃなかった勇者になった。
どうやらそう決まったらしい。
僕はゴブリンの親玉を倒す。
作戦はこうだ。
僕が一人でゴブリンの軍隊に突撃してゴブリンの親玉を撃破する。
そうすればゴブリンが混乱する。
だから、そのスキに騎士団は王女を護衛して、このゴブリン軍団の勢力圏から離脱する。
……
…………
(無茶苦茶だ。
そもそも僕にそんな事が出来るか?)
騎士団はたぶん、誰も僕にそんな事が出来るとは思っていない。
ただ僕が囮になってるスキに……逃げるつもりだろう。
僕が勝っても負けても作戦に大差は無い。
騎士団は僕がゴブリンの親玉を倒せなくても『スキが出来れば良い。その間に逃げれば良い』くらいにしか思っていないのだろう。
(僕は使い捨ての鉄砲玉か?)
それはそれで良い。
信用されてないなら……気楽だ。
【厄介なのは王女だけが僕を信じて疑って無い事】だ。これが最悪だ!
騎士団から鉄砲玉扱いされるほうがまだマシだった。
失敗前提ならば僕の責任は大きく減る。
でも王女の信頼。
これがキツイ。
責任重大だ。
僕の大言壮語を子供の純粋な目で全肯定されるほうがキツイ。
(そんな期待に満ちた目で僕をみないでくれ〜。
これゴブリン親玉討伐に失敗したら、この子供を騙す事になるのか?
なんだか、それおかしく無いか?)
王族とは言え所詮子供。
僕の言葉に騙されてる。
そのはずなのに……
騙した僕のほうが心が痛い。
いや僕には、だますつもりもなかった。
なんと言うか、大言壮語しただけだ。
(正直調子にのっていた。)
それでも……ゴブリン親玉討伐に失敗したら、僕は王女を騙した事になる。
このキラキラと僕に向けられる王女の視線を裏切る事になる。
僕は調子に乗って大言壮語した。
とはいえ何だこの理不尽?
(僕は命を賭ける。
なのに失敗したら嘘つきになる理不尽。)
とか悩んでた。
が、
王女は全然別の事で悩んでいた。
「ところで。今まで何人の女性とお付き合いシタコトガありますか?」
と王女から真面目な顔で聞かれる。
「ん? ゼロ人だけど?」
正直に答える僕。
何か関係があるのだろうか?
まぁいいや。
僕の学校は進学校。
中学時代モテなかった。
だけどさ、大抵みんなそんなもんだ。
進学校の中高生なんて大抵恋愛経験無い
恋愛よりも受験だ。
「そうですか。前科はありませんか……良かった」
安心したようにホッとする第5王女。
「前科?」
(何だと?
……前科って何だ?)
恋愛遍歴が前科扱いされる倫理観?
(この世界。やっぱりなんか理不尽すぎる)
しかも前科が無い?
イコール僕の童貞が確定する。
それも、なんともかんとも
いかんともし難い気分だった。
童貞は無罪。
非童貞は前科者か?
どうなってんだ?
この世界は?
それとも元いた国の倫理観がおかしい?
……
それも否定し難いのがなんともかんとも。
日本人は少子化で絶滅危惧種になりそうだしね。




