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刃物嫌いな僕は【防刃服】着て【ゴブリン】相手に無双した体験が忘れられなかった  作者: 金銅才狸


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5お、騎士団と親衛隊



 怪しげな重装備の一団が焚き火をしていた

 その煙に釣られて僕はここに来た。

 重装歩兵は十人はいるだろうか?


 僕は、はじめ警戒された。

 だが僕の格好を見てすぐに警戒は解けた。

 僕は服の他には桃缶しか持っていないから


 僕の【防刃服】は一見、布製に見える。

 それに包丁は捨てた。


 鎧を着てないし武器を持っていない。

 イコール非戦闘民。

 そんな判断されたらしい。


「我々は第五王女の騎士団です。貴方は?」

「僕? 僕はただの逃げてきた通りすがり」

「なる程。

 ゴブリンから避難してきましたか」


 やたらと丁寧に尋ねられた。

 見た目ゴツイ重装歩兵なのに声は優しい。

 礼儀正しい。

 

(騎士団、悪い人では無いのだろうか?)


 僕はゴブリンの本陣らしき場所へ立ち寄り逃げ出してきて、ここにいる。

 から……


 ゴブリンから避難して来たかと言われれば


「そんな感じ」


 噓は言ってない。

 本当の事でも無いけど。


「そう、ですか。難民でしたか」


 重装騎士は何だか、がっかりしていた。


(にしても僕が難民扱い? まぁ似たようなものか? 僕が難民?

 まぁ良いか。

 それよりも、とにかく情報が欲しい。)


「皆さんは、ここで何をしてるのですか?」


 聞いてみた。


「我々は散り散りになった第五王女騎士団。仲間を狼煙を上げて呼び寄せているのです」

「散り散りになった?」

「集まりが悪くて途方にくれている所です」


 何だか騎士は落ち込んでいた。

 何をしているのか聞いたら、

『途方にくれている』と返事が帰ってきた。


(なんかヤバイ?)


「途方にくれているって? なぜ?」

「ゴブリンの軍勢と我々第五王女騎士団が予想外に、かち合ってしまいました。」

「ほうほう」


 あのゴブリンの大群と遭遇戦をしたと?


 (僕と同じだね。規模は違うけども)


「騎士団は散り散りなってしまって……」

「なるほど」

「散らばった騎士団の集結を待たねば第五王女を安全に移動させる事もままなりません」


 この集団は王女をかかえているのか?


 どおりで警戒神が強い集団だと思った。

 王女を守っていたのか?


 なんか十人位の集団かと思ったのに……

 僕が敵じゃないとわかると、隠れていたらしくゾロゾロ似たような重装備の騎士が出てきた。


 第五王女の護衛かな?

 それにしても……


「なるほど僕にも事情はわかりました。でもゴブリンって雑魚ですよね? 何故わざわざ騎士団を呼び集める必要が?」


 数十人も重装備の騎士がいる。


(コレだけ人数がいれば、王女を連れて逃げ出せるのでは?

 そもそも狼煙に釣られてゴブリンも、ココにやって来るのでは???)


「王女の護衛の為です」

「ゴブリン弱いし、コレだけ数がいれば逃げ帰るくらいは楽勝でしょ?」


(何をビビっているのか?)


「ゴブリンの真の恐怖は、その戦闘力の為では無いのです」

「??? じゃあゴブリンの何を恐れていると? 数?」


 僕も数の前には逃げたし。


「確かにゴブリンは数が多く狡猾です。ですが……ゴブリンの真の恐怖は子供を確殺する事にあるのです」

「???」


 僕は頭をひねる。

(子供を確殺? ってなんだろう?)


「ゴブリンは子供の天敵です。いつの間にか子供をさらい、回復不可の呪いをかけたり殺したり」

「子供限定のバフ?」


 厄介かな?


「どれほど才能や実力があろうと、基本的に子供はゴブリンに勝つ事が出来ません」

「なぜ?」


 才能差実力差をくつがえすゴブリンの力?


「ゴブリンは皆、スキル【子供殺し】を持っています。しかも神出鬼没。恐怖です」

「声からして貴女は大人でしょう? なのにゴブリンに恐怖? 何故?」


 僕はこの騎士が女だと声から判断した。

 それと同時に……


 正直ガチガチに金属の鎧で全身を固めている重装甲が、ゴブリンにガチビビリしているさまは違和感しかない。


「王女が子供なのです。少しでも油断すると第五王女をさらわれてしまいます」

「なる程」

「戦士としてはゴブリンは雑魚ですが、子供をさらう誘拐犯や暗殺者としては、ゴブリンは恐怖以外の何者でもありません」


 ……

 ……予想してなかった。


(あ〜。つまりはなんだろう? 

 ゴブリンは弱いけども、子供をさらう?

 

 第五王女は子供。 


 だから第五王女の親衛隊はゴブリンを恐れてると? 


 この集団は王女と言う弱点を抱えてる。


 移動すると王女をゴブリンに、さらわれかねないスキを作る。


 だから、まずガチガチに守備を固めて……

 安全に王女を護衛出来る数の味方が集まるのを待っていると?


 そういうわけか?


 王女の防御に気を取られて、後手にまわって窮地に陥ってる。と?)


 つまり……


「戦力的にはゴブリンに勝てると?」

「我々騎士団は総勢三百人。

 しかも散り散り今は五十人以下」

「ゴブリンよりも遥かに少ない」


 ゴブリンの本陣には数えきれないゴブリンがいた。


「最精鋭の親衛隊9人も、私以外は、はぐれてここにいません。比べてゴブリン軍は数千はいます。

 単純に数で負けています」


(つまり勝てないと?

 騎士50対ゴブリン数千。

 数の差エグくないか?

 そりゃ逃げるしかないわ。


 てかゴブリン軍?

 あの途中で見かけた集団はゴブリンの軍隊だったと言うわけか?)

 


「絶望的な差じゃないか」

「いえ、数の差。それだけなら勝ち目は十分ありました。しかし……奇襲を受けて騎士団屈指の強さを持つ親衛隊員は散り散りに」

「なる程。主力と、はぐれたと?」


(絶望的じゃないか? この騎士団は)


「我々騎士団といえど戦力半減以下。しかも第五王女を守りながらとなっては……」

「現状逃げるのも絶望的だと?」


(だから戦力になりそうに無い僕を見て、がっかりしたのかな?)


「狼煙、合図となる煙を焚いて、散り散りになった騎士と親衛隊を呼び寄せていますが、今一つ集まりが悪く……」

「あ〜〜」


 言われて騎士団を見回した。

 重武装の第五王女騎士団。


 兜から足先まで鉄の鎧で硬めた精鋭達。

 ゴブリンなど敵では無いだろうなぁ。

 ……数が足りていれば。


 ざっと騎士の数を数えたが、40人もいないんじゃ。

 下手すると30人?


「親衛隊の数が揃い次第、離脱を考えていました。が、このままでは王女様を守りきれません」

「精鋭親衛隊の集結が間にあわないと?」

「あつまりが悪すぎます。親衛隊もゴブリンに殺られたり、逃げ出した可能性もありますから」

「あちこちゴブリンが徘徊しているしね」


 見た感じ親衛隊の装備は金属フル装備。

 僕には騎士団と親衛隊の見分けがつかないが、親衛隊は騎士団より更に上等な装備なのだろう。


 全身覆われた重武装の騎士団や親衛隊。

 いくら数が多くいても身体の小さなゴブリンごときに殺られるとは思わないけども……


(逃げ出した可能性は……あるのか?)

 

 とにかくゴブリンは数が多い。

 恐怖に駆られて逃げる可能性もある。

 

 いつも僕は刃物に恐怖を感じてる。

 だから恐怖には人一倍敏感だ。


 僕だって小さなゴブリン相手でも、相手が大群で、しかもゴブリン達が皆、刃物を装備していたから逃げ出した。


(親衛隊が逃げ出してても不思議じゃ無い)


『この集団はアレだ。

 敗残兵。

 いわゆる落ち武者集団だ。


 一緒にいるとゴブリンにたぶん狙われる。

 ゴブリンの狙いは第五王女かもしれない。


 コレで僕を見た騎士ががっかりした理由がわかった。

 戦力にならないと判断されたんだ


 僕も逃げて良いかな?

 難民って言われたし。

 僕は難民じゃない

 ハッキリ自覚がある。


 自覚と言えば

 そう言えば騎士と会ってさっき自覚した

 僕はファッションセンスがおかしい変質者だと……』


 思考がファッションに飛んだ。


「その独り言を言う癖。

 やめたほうが良いよ

 あと御自分を変質者と卑下するのも……

 我々を敗残兵と言うのも……

 やめたほうが良いよ」


 騎士から注意された。

 騎士団員達が冷たい目で僕を見ていた。

 僕はまた独り言が原因で孤立するのか?

 

 いや、大丈夫だ。

 僕は【防刃服】を着ている。

 言葉のナイフも怖くない。


 はずなのに……


 何だか今回は騎士の口から飛び出す言葉のナイフが怖かった。



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