14、せ、切札の差。装備の差
僕のクビから下げていたネックレス。
その先っぽのアクセサリーを手に取る。
アクセをゴブリン将軍の顔に向ける。
そしてネックレスの先についてるアクセサリーのスイッチを押した。
アクセサリーから霧状態のスプレーが噴射された。
ゴブリンジェネラルの顔に直撃。
「貴様ぁ。ココマでキテ卑怯ナ!」
僕の切り札。
対クマ用の催涙スプレー。
「コレは僕の宿敵、兄に再び襲われたとき用に用意した物だ。装備を整える準備も実力のうちだろ? ならば文句を言うな」
クマ避けスプレーの噴射が決まった。
ゴブリンジェネラルの顔面直撃。
相手の視力と嗅覚を一時的に奪えた。
ゴブリンジェネラルは視覚と嗅覚を奪われ、しかも激痛に混乱している。
コレで僕の勝ちだ。
そう思った矢先に、ゴブリンジェネラルが持つ武器が炎につつまれた。
「何だ?」
「クラエ!」
直径2メートル程の火球。
それがいきなりゴブリンジェネラルのつえ先から現れた。
更に、その火球が僕へ向かって放たれる。
巨大な火球。
バスケットボールを遥かに超える大きさ。
僕の身長よりもデカイ。
そんな火球が僕の横をすり抜けた。
少し離れた地面に激突。
ドーーンと言う轟音とともに爆裂した。
「コノ【ジェネラルの杖】ニハ火球魔法の力が秘メラレテイル。卑怯トハ言ウマイナ。装備を整エルノも実力のウチ。ダロ?」
ゴブリンジェネラルが僕の口調を真似た。
でもそれよりも……
「魔法……だと?」
(この世界に魔法が、あったのか?)
てか火球の爆発力エグかった。
まるで手榴弾。
いや、それよりも火力がヤバイ。
巻き込まれたゴブリンがいい感じに焼けた
あんなのを生身の人間が食らったら
「ゴブリンジェネラルがゴブリンキングより授カル【ゴブリンジェネラルの杖】ダ。」
(ゴブリンキング?
そんなのもいるのか?)
「くそ。そんな物を装備してたのか」
「卑怯トハ言うマイナ? 装備をトトノエルのも実力のウチと言ったノハオマエだ」
確かに言った。
煽った。
ソレが今、アオリ返されてる。
「くそ……」
「オヤ? そんな装備で我と戦えるノカ? 大丈夫カ?」
ゴブリンジェネラルにアオリ返された。
(何だコレは?)
頭がパニックだ。
一瞬で戦況をひっくり返された。
死にかけた。
クマ用スプレーで視覚潰してなきゃ、終わっていたかもしれない。
コッチの切札を切札で返された。
(ヤバイ! なのに……)
「ど〜してワクワクが止まらないんだ?」
「ナニ?」
「良いよオマエ! お前、最高だ!」
僕の心はコイツと戦う事が楽しくて
楽しくて
楽しすぎて……
他の事、全てを忘れていた。
切札となる武器は、もう無い。
いや……ある。
剣を鞘から抜けば、異界を切り裂ける。
ゴブリンジェネラルを日本へ送り出す
そんな事が出来る。
この場から飛ばせる。
だけども僕は、この戦いが楽しくて楽しすぎて、全てを忘れてた。
「行くぞ〜」
「ムゥ。ヤケにナッタカ?」
ただゴブリンジェネラルへ突撃した。
自爆覚悟。
ゴブリンジェネラルの放つ火球
それに焼かれれば俺の負け。
何とかかわすか耐えれば……
一撃でゴブリンジェネラルを仕留めれる?
か?
「勝算はある。
普通は攻撃と防御を同時に出来ない。
オマエにとって魔法は攻撃の切札のはずだ
切札を切る瞬間。
防御力はガタ落ちしてるだろ?
【火球】を何とか出来れば俺の勝ちだ」
僕は無我夢中で叫ぶ。
自分の事を俺を言ったり。
まるて自分が自分で無い様な無我夢中。
無我夢中の僕は……
ゴブリンジェネラルの【必殺の火球】を
今度は狙い外れる訳もなく直撃を受けた
そして……
そのまま駆け抜けた。
鞘から剣を抜く。
第五王女から借りた剣。
その剣を……
ゴブリンジェネラルに突き刺した。
僕へ信じられないモノを見る様な目。
ゴブリンジェネラルの目が向けられる。
「種をあかせば、僕の服は【防刃服】
防刃服の素材は熱にもメチャクチャ強い。
そのおかげで僕は無傷。
ゴブリンジェネラルは致命傷」
「なんと……」
つまりは……
「装備の差だ。僕の服の素材は刃物を通さない。と同時に熱をほとんど通さない」
「……」
「危ない所だった。紙一重だった」
僕が説明すると……
「ソウカ、最後ニ詰メヲ誤ってシマッタカ」
「そちらの杖よりも、僕の【防刃服】のが強かったね。装備の差だ。腕は互角だった」
「グフフ。ソウ、カ」
「楽しかった」
偽らざる、本音だ。
(楽しかった。命を賭けても良いほどに)
それがゴブリンジェネラルにもつたわったのだろうか?
それとも相手も、そう思ってくれたか?
「……ソウ、ダナ。グフフ、ヨシ。儂ノ装備【ジェネラルの杖】をヤル。モッテイケ」
と言われた。
「……良いのか?」
ゴブリンキングから貰った大切な物じゃ
「アァ。モウ儂は必要ナイ所へイク。
ソレにオマエは強い。
オマエの勝ちだ。
強いモノが全テヲ得ルのがゴブリンノ掟。
ソレに、儂モ、愉シカッタ」
「そか…………俺も楽しかった」
なんとも惜しいと言う感覚が消えない。
この瞬間を永遠に感じたい。
もう一度コイツと再戦したい。
「行け。儂ガ死ネバ『ゴブリン』ハ統率ヲ失う。オマエを襲ウ。ソノマエニサレ」
ゴブリンは軍は混乱する?
「雑兵ゴブリン如きに負けないさ。俺はジェネラルに勝利したのだから」
「グフフ。強がルナ。疲労ダメージは隠せて無いゾ。」
「……バレたか」
確かに連戦はゴブリン相手でもキツイかも
「イケ。儂に勝った雄ガ、他のゴブリンニ負ケルノハ許セン」
「そだな。ゴブリンジェネラルに勝って、ゴブリンに負けちゃ格好がつかないな』
「イヤ。コレから誰ニモ負ケルナ。オマエは儂ニ勝ッタのダカラ……」」
そう言ってズシンとゴブリンジェネラルの巨体は仰向けに倒れた。
僕の剣は刺さったまま。
僕は剣の回収を諦めた。
代わりに【ゴブリンジェネラルの杖】を手に取る。
初めて手にした【ゴブリンジェネラルの杖】は奇妙なくらいに手に馴染んだ。




