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シックなアンティーク家具が品よく並ぶ部屋だった。
けれど、どこか落ち着かない雰囲気なのは、人形たちがひしめき合っているせいだ。
棚にも机にもベッドサイドにも。それから床にも。
人形たちの種類は様々だった。
金髪のアンティークドール。テディベア。日本人形。フェルトの人形。マトリョーシカ。編みぐるみ。絵本の中のお姫様のような素朴な布人形。それから、エンジのブレザーを着た手のひらサイズの樹脂人形。
部屋中のいたるところに、人形たちはいた。
――――そう、あるというよりも、いると言った方がしっくりくる雰囲気だった。
唯一人形がいないのは、中央の焦げ茶色の丸テーブルの上だけだった。
テーブルの上には、絵本が置いてある。
絵本は開いていた。
白くて細い指が、ゆっくりと絵本の縁を辿る。
指の主は、シンプルな黒いワンピースに身を包んだ……魔女だった。
見た目は、少女だった。
滲むような翳りを帯びた少女。
絵本に視線を落とし、魔女は薄っすらと笑みを浮かべた。
滲むような笑みを。
「招待状もないのに勝手にゲームに参加するなんて、いけない子ね?」
落ち着いた声が、静かに落とされた。
滲むような声。
声に咎める響きはなかった。むしろ――――。
絵本の中では、人形たちがお茶会をしていた。
お姫様と日本人形と、テディベア。
それから、もう一人。
エンジ色のブレザーを着た平凡そうな少女が、そこには描かれていた。




