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魔女の仕掛け絵本ーRー  作者: 蜜りんご
第1章 人形たちのお茶会
6/7

5 ***

 シックなアンティーク家具が品よく並ぶ部屋だった。

 けれど、どこか落ち着かない雰囲気なのは、人形たちがひしめき合っているせいだ。

 棚にも机にもベッドサイドにも。それから床にも。

 人形たちの種類は様々だった。

 金髪のアンティークドール。テディベア。日本人形。フェルトの人形。マトリョーシカ。編みぐるみ。絵本の中のお姫様のような素朴な布人形。それから、エンジのブレザーを着た手のひらサイズの樹脂人形。

 部屋中のいたるところに、人形たちはいた。

 ――――そう、あるというよりも、いると言った方がしっくりくる雰囲気だった。

 唯一人形がいないのは、中央の焦げ茶色の丸テーブルの上だけだった。

 テーブルの上には、絵本が置いてある。

 絵本は開いていた。

 白くて細い指が、ゆっくりと絵本の縁を辿る。

 指の主は、シンプルな黒いワンピースに身を包んだ……魔女だった。

 見た目は、少女だった。

 滲むような翳りを帯びた少女。


 絵本に視線を落とし、魔女は薄っすらと笑みを浮かべた。

 滲むような笑みを。


「招待状もないのに勝手にゲームに参加するなんて、いけない子ね?」


 落ち着いた声が、静かに落とされた。

 滲むような声。

 声に咎める響きはなかった。むしろ――――。


 絵本の中では、人形たちがお茶会をしていた。

 お姫様と日本人形と、テディベア。

 それから、もう一人。


 エンジ色のブレザーを着た平凡そうな少女が、そこには描かれていた。



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