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終わりにして始まりの魔女の祈りは、泡沫を生んだ。
泡沫の中を祈りは揺蕩う。
とある泡沫のそのまた泡沫の中で、魔女の祈りは形を結んだ。
姿を得た祈りは、夢を見るように人形たちの狂乱を観覧した。
母体となった泡沫も興味深かった。
泡沫の中には、異なる泡沫の物語が無数に蔓延っていた。
生まれ育った泡沫から別の泡沫へと渡る物語。
生まれ育った泡沫の記憶を持ちながら別の泡沫で生まれ直す物語。
されど、泡沫は所詮泡沫。
祈りを生む女神が世界と共に終わりを迎えれば、泡沫もまた弾けて消える。
世界の終わりは泡沫の終わり。
泡沫のごとく生まれた無数の世界もいずれ消え逝く。
けれど、今。
泡沫の中の泡沫で、奇跡が生まれつつあった。
奇跡はいまだ至らない。
それも然り――――。
女神は、終焉の狭間で夢を見た。
守りたかった世界の夢を。
夢は幼子の見る夢のように夢幻に広がった。
終わらないで、と祈りを乗せて夢は無限に広がった。
祈りは泡沫の世界を生み、数多の魔女を生み出した。
世界となった女は悟った。
守りたかった世界を捨て、真に女神へと至れば、新しい世界を生み出すことが出来る、と。
けれど、女は躊躇った。
魔女に堕とされた女は、真に女神となることを躊躇った。
それは、女が本当に守りたかった世界ではないからだ。
そっくり同じ世界を創れたとしても、それは女が守りたかった世界ではないのだ。
それに、女はもう十分すぎるほど世界に尽くした。
疲れていた。擦り切れていた。
世界の存続を願った。
安らぎの果ての終焉を望んだ。
どちらも本当で。
祈りは揺らいだ。
女神と呼ばれても。魔女と蔑まれても。
世界と同化しても。泡沫世界の苗床となっても。
女は、人だった。
人であったからこそ。
魔女にされた女は真に女神へと至れず。
心はまだ人のまま。
人として、揺蕩い続ける。
だからこそ。
祈りに触れて魔女と成った者たちもまた、女神へとは至れないのだろう。
それでも、いずれ。
世界は生まれ変わるだろう。
その萌芽を。息吹を。
終わりにして始まりの魔女は、確かに感じていた。
魔女が生み出した泡沫の中で。
泡沫が生み出した泡沫の中に。
絵本の登場人物なのに。
絵本の登場人物だからこそ。
|みんなのために苗床となることを選ぶ《設定通りのキャラクターを全うする》のだろう。




