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ストレンジカメレオン  作者: チャンカパーナ橋本
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3-1 何か違う

 休日というものを一般的な学生ならどう過ごすのだろう。パッと思いつく範囲だと、部活に入っているものなら部活に精進し、アルバイトをしているものならば、もちろんアルバイトに専念するであろう。


 では、平日に散々種田に振り回された挙げ句、部活もバイトもやっていないギャルゲオタクの学生は。

 そう、その答えは無論、ギャルゲ道を邁進することである。


 好きなジュース、お菓子等々を動かなくても取れる位置に配置し、一日中ギャルゲに浸る。これに勝る幸福がこの世に果たしてあるのだろうか。いや、ない。


 どうせ今後下手したら三年間、種田の呪縛に囚われたままの可能性があるのだ。ならせめて休日ぐらい。……考えたら鬱になってきた。はい、暗い話お~しまい! ギャルゲやって忘れよ!


 個人的な予想だが、今後、日本においてギャルゲ、もっと大きな視点でいうとオタク文化はますます需要を高めると思われる。今後日本社会はお先真っ暗になっていくであろう。ディープランニングの台頭等に伴うロボット需要の増加。高齢者問題etc……。


 たとえば、今現在、日常アニメが人気なのもこの社会の絶望が大きく起因しているに違いない。人は事実から目をそらすことで心が壊れることを自らの手で防ぐ。


 このように今後需要が増加の一途を辿るであろうギャルゲをプレイするということは、それ即ち未来のための重要な投資であり、活動なのである。ギャルゲソムリエとかそういう職業が出てくるかもしれないしな。

 よし! 自分でもわけがわからないガバガバの理論武装も終わったところで……やりますか~。


 肩を前後に回しウォームアップを図る。


 肩がいい具合にほぐれ、コントローラーを握った瞬間、ベッドの上に置いていたスマホの着信がなった。

 俺に休日用事のある人物などそうそういまい。どうせ間違い電話だろうと予想しつつも、ディスプレイを確認すると、そこには見慣れない番号が表示されていた。


 ……うーん出るべきだろうか。こういうのは大抵間違い電話なんだけど、たまに宅配の人とかが場所わからなくて電話かけてくるんだよなー。何か頼んでったっけなー。


 amazonヘビーユーザー通称アマゾネスは、基本的に物を頼みすぎていつに何を頼んだのか覚えていない。豆知識である。

 ……えーい、ままよ! 俺は通話ボタンを勢いよく押した。


「はい、もしもし」

「今日十三時に街田駅に集合ね」


 食い気味に放たれたその声は、女性のものであった。

 ……しかし何て一方的かつ高圧的な間違い電話だ。こんな奴と待ち合わせしてるなんて相手はかわいそうだな。


「……失礼ですがお間違いではないでしょうか?」


 めんどくさいのでつい低いトーンになってしまう。まあいい、高いトーンをわざわざ用意する価値もない。間違い電話の相手なんて二度と関わらねえしな。


「いいえ間違えてないわ。高見原高校一年三組出席番号十六番、水谷慶悟にかけてるわ」


 俺に関する情報がすらすら聞こえてきて、背筋が凍る思いがした。……えっ、怖っ。


「……わたしよわたし。種田よ種田」

「ああ、何だ種田か。安心した……じゃねえよ! 何で俺の電話番号知ってるんだよ!」


 そう言うと、種田は電話越しに「ワオ! ナイスノリツッコミ!」と返してくる。絶対バカにしてる。

 ……だが一瞬、本当に種田でちょっと安心してしまった。まあ、確かに知らない人よりは遙かにマシだけれども……。


「ところで電話番号? ……ふふっ、スニーキングは得意分野よ。特に職員室にいる人達は、学校の生徒に対する警戒心が緩くてちょろいわ」

「お前は個人情報保護法に挑戦する気か!」


 こいつ、次は職員室忍び込んで個人情報盗みやがった……。いっぺんこいつにはモラルという言葉を本気で叩き込まなきゃいけない気がする。


「まあ、とにかく十三時に街田に来なさい。電話番号をみるついでに住所も拝見させてもらったけど、そっからなら一時間もあれば来れるでしょう。男子だから準備もすぐ終わるだろうし」

「俺の休日……」


 断る気はもはや起きなかった。どうせ最強カード「オタクなことバラすよ」でゲームセットだ。


「……一応聞かしてくれ。何しに行くんだ」

「デートではないからそこには淡い幻想を抱かないで」


 種田がバカにしたような笑みを浮かべたのが電話越しでも伝わった。……ところで俺、何で勝手にフラれたの? 


「……まあ、その態度含めて、今日はお前に言ってやりたいことがある。待ってやがれ」

「ふふふ、楽しみにしてるわ」


 こいつ、絶対いつか生き恥さらさしてやる……。


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