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戦国アウトロー  作者: 石蒜
第2章「尾張の狼煙」
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第41話「仲間の証」

昼休み。

秋山天馬は教室で、大地夢斗と弁当を食べていた。

「なあ、天馬」

「ん?」

「昨日の城戸って奴、結局何だったんだろうな」

「さあな」

「東側を狙ってるんだろ?」

「そう言ってたな」

夢斗は唐揚げを口に運んだ。

「また喧嘩になりそうじゃね?」

天馬は箸を止めた。

「……できれば勘弁してほしいけどな」

「お前、喧嘩強いくせに嫌がるよな」

「好きで喧嘩してるわけじゃねえよ」

「まあ、そうか」

その時、教室の扉から男子生徒が顔を出した。

「秋山、大地!」

「何?」

「桐生先輩が放課後、体育館裏に来てほしいって」

天馬と夢斗は顔を見合わせた。

「……また何かあったのか?」

「さあ?」

夢斗は笑った。

「とりあえず行ってみようぜ!」

放課後。

体育館裏には、すでに桐生拓真が立っていた。

その隣には竜胆椿と佐久間海斗もいる。

「おう、来たか」

「桐生先輩、話って何ですか?」

天馬が尋ねた。

桐生は五人が揃ったことを確認し、口を開いた。

「昨日の河川敷で、ちょっと考えたことがあってな」

「城戸のことですか?」

椿が尋ねる。

「ああ。それもある」

桐生は壁から背中を離した。

「お前ら、これからも一緒に動くつもりか?」

夢斗が即答する。

「もちろんです!」

海斗も頷いた。

「今さら別々ってのも変ですしね」

「僕も、そのつもりです」

椿が答える。

桐生は天馬を見た。

「お前は?」

「……俺もですよ」

「そうか」

桐生は少し笑った。

「だったら、一つ提案がある」

「提案?」

「俺たち五人で、ちゃんと仲間としてまとまらねえか?」

夢斗が首を傾げる。

「……もう仲間じゃないんですか?」

「そういう意味じゃねえよ」

桐生は笑った。

「今までは、何か起きるたびに集まってただろ?」

「確かに」

海斗が頷く。

「東側に行った時も、結構急でしたよね」

「ああ。これからは誰かが困った時、すぐに相談できるようにしておきたい」

天馬は桐生を見た。

「チームを作るってことですか?」

「まあ、そんな感じだな」

夢斗の目が輝いた。

「おお! 何かかっこいい!」

「ただし、勘違いすんなよ」

桐生は夢斗を指差した。

「他校に喧嘩売ったり、縄張りを広げたりするためじゃねえ」

「分かってますって!」

「本当か?」

「……多分!」

「そこは言い切れよ!」

海斗が笑った。

椿は少し考えてから尋ねた。

「リーダーはどうするんですか?」

桐生は天馬を見た。

「俺は天馬がいいと思ってる」

「……は?」

天馬が目を丸くした。

「何で俺なんですか?」

「お前が一番、みんなを動かしてるからだ」

「そんなことないですよ」

「あるだろ」

桐生は続けた。

「東条と戦った時も、昨日の河川敷でもそうだった」

天馬は黙った。

「お前が動くと、こいつらも動く」

夢斗が笑う。

「確かに!」

海斗も頷いた。

「俺も天馬でいいと思う」

「僕も賛成かな」

椿が答えた。

天馬は四人を見回した。

「……お前ら、勝手に決めんなよ」

夢斗が肩を組んでくる。

「いいじゃん! リーダー!」

「重てえんだよ、その呼び方!」

「じゃあ大将!」

「もっと嫌だわ!」

四人が笑った。

桐生は天馬に尋ねた。

「どうだ?」

天馬はしばらく考えた。

「……一つだけ、いいですか?」

「何だ?」

「俺がリーダーでも、命令とかしたくないんですけど」

桐生が頷く。

「いいぞ」

「誰かが困ってたら、みんなで考えて助ける。それじゃ駄目ですか?」

「駄目なわけねえだろ」

天馬は笑った。

「だったら、やります」

夢斗が両手を上げた。

「決まりだな!」

海斗も笑う。

「よろしくな、リーダー」

「だからその呼び方やめろって!」

椿は天馬に手を差し出した。

「よろしく、天馬」

天馬はその手を握った。

「おう!」

続いて夢斗、海斗、桐生も手を重ねる。

「……何か照れるな」

海斗が呟く。

夢斗が笑った。

「いいじゃん、こういうの!」

桐生は四人を見た。

「一応、約束だけ決めとくか」

「約束?」

天馬が尋ねる。

「ああ。困ってる仲間を見捨てない。勝手に他校へ喧嘩を売らない。それから――」

桐生は少し間を置いた。

「何かあったら、一人で抱え込まずに相談する」

椿が頷く。

「それ、大事ですね」

「特に天馬と夢斗な」

「何で俺たちなんですか!」

二人の声が重なった。

海斗が笑う。

「自覚ねえのかよ」

五人は顔を見合わせ、再び笑った。

その日の夕方。

東尾張連合の集まる雑居ビル。

東条雅人は三枝圭介から話を聞いていた。

「……秋山たちがまとまった?」

「ああ。桐生も一緒らしい」

「そうか」

東条は椅子にもたれた。

久我山慎吾が口を開く。

「東条さん。秋山たち、今度は何をするつもりなんですかね」

「知らねえよ」

「……そうですか」

神谷亮介が腕を組んだ。

「でも、あいつらなら他校を無理やり従わせたりはしないだろ」

相馬恭介も頷く。

「それは俺も思う」

東条は少し考えた。

「……秋山は、俺とは違うやり方で仲間を集めるのかもな」

久我山が尋ねる。

「どういう意味です?」

「さあな」

東条は笑った。

「俺にもまだ分からねえよ」

一方、北陵高校。

城戸圭吾は水原廉と片瀬翔から報告を受けていた。

「秋山たちがチームを作った?」

「はい。まだ名前は分かりませんけど」

水原が答える。

城戸は椅子に座ったまま笑った。

「へえ。面白くなってきたな」

片瀬が尋ねる。

「どうします?」

「今は放っとけ」

「いいんですか?」

「ああ。東側のことも、まだ終わってねえしな」

城戸は窓の外を見た。

「それに、秋山だけが相手じゃねえ」

水原が首を傾げる。

「他にもいるんですか?」

「南側でも、最近動きがあるらしい」

「南側?」

「ああ」

城戸は立ち上がった。

「尾張には、まだまだ面白え奴がいるってことだ」

その頃。

天馬たちは駅前のファミリーレストランにいた。

「なあ、チーム名どうする?」

夢斗がメニューを閉じながら尋ねた。

天馬は首を傾げる。

「必要か?」

「必要だろ!」

海斗が笑う。

「じゃあ夢斗、何か考えてみろよ」

「任せろ!」

夢斗は腕を組み、真剣な表情になった。

しばらく沈黙が続く。

「……焼肉連合」

「却下!」

天馬が即答した。

「何でだよ!」

「食い物から離れろ!」

椿は笑いを堪えながら言った。

「名前は急がなくてもいいんじゃない?」

桐生が頷く。

「そうだな。今は五人で始める。それで十分だ」

天馬は四人を見た。

「……これからもよろしくな」

夢斗が笑う。

「おう!」

海斗も頷く。

「よろしく」

椿は微笑んだ。

「こちらこそ」

桐生はグラスを持ち上げた。

「じゃあ、五人のこれからに」

五人はグラスを合わせた。

まだ名前のない、小さな仲間たち。

だが、その結びつきは確かに強くなっていた。

第41話 完

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