第21話「こちらから」
翌日の昼休み。
天馬、夢斗、海斗は校舎裏にいた。
少し遅れて椿もやって来る。
「昨日の奴ら、何て言ってた?」
天馬が聞く。
「お前が何人集めてるのか聞かれた」
「集めてねえよ」
夢斗が笑う。
「向こうから見たら、そう見えるんじゃね?」
「迷惑だな」
椿が壁にもたれる。
「それだけじゃない。東側に首を突っ込むなら、次は昨日みたいには終わらないって」
海斗の表情が変わる。
「完全に敵扱いされてるな」
「俺も誘われた」
天馬の言葉に椿が顔を上げる。
「誘われた?」
「仲間になれって」
「断ったんだろ?」
「当たり前」
「だろうな」
その時、校舎裏へ桐生がやって来た。
「揃ってんな」
「桐生先輩」
桐生は四人を見る。
「東側のことで話がある」
天馬が立ち上がる。
「ちょうど俺たちも話してました」
「昨日、動きがあった」
「何が?」
「東側の連中が、別の学校を襲った」
夢斗が眉を寄せる。
「また?」
「ああ。今度は十人近くだ」
「十人……」
桐生の表情が険しくなる。
「このまま放っておけば、もっと増える」
天馬は少し黙った。
今までは向こうから来た。
売られた喧嘩を買っただけだった。
だが――
「先輩」
「何だ?」
「こっちから行きません?」
三人が天馬を見る。
桐生も少し驚いた。
「本気か?」
「待ってても、また誰か来るだけですよね」
「まあな」
「だったら、こっちから話しに行く」
夢斗が笑う。
「話しに?」
「最初はな」
海斗も立ち上がる。
「相手が話す気なかったら?」
天馬が笑った。
「その時はその時」
「結局そうなるのかよ」
椿が呆れながらも、口元を緩める。
桐生はしばらく天馬を見ていた。
「……分かった」
「場所、知ってるんですか?」
「大体はな」
桐生が歩き出す。
「ただし、放課後だ」
夢斗が時計を見る。
「あと授業あるの忘れてた」
「当たり前だろ」
予鈴が鳴る。
五人は校舎へ戻り始めた。
その頃。
東側の一角。
久我山慎吾が、一人の男の前に立っていた。
「秋山は?」
「断りました」
「そうか」
男は椅子から立ち上がる。
「なら次は、こっちのやり方でいい」
久我山が笑う。
「やっとですか」
男は窓の外を見る。
「秋山天馬……」
その時、別の男が部屋へ入ってきた。
「話がある」
「何だ?」
「桐生が動いた」
男の表情が変わった。
「……面白くなってきたな」
天馬たちと東側。
互いが、初めて相手へ向かって動き始めていた。
第21話 完




