第18話「四人の時間」
戦いを終えた天馬たちは、駅近くのファミレスに入った。
「腹減ったー」
席に座った夢斗がメニューを開く。
「さっきまで喧嘩してた奴とは思えないな」
椿が呆れる。
「喧嘩したから腹減ってんの」
海斗もメニューを見る。
「俺、ハンバーグ」
「決めるの早っ」
天馬は向かいに座る椿を見る。
「何食う?」
「まだ見てる」
「遅いな」
「急かすな」
しばらくして料理が運ばれてくる。
夢斗はすぐに食べ始めた。
「うまっ」
「もうちょっと落ち着いて食えよ」
「天馬も早いじゃん」
「お前ほどじゃねえ」
海斗が笑う。
その隣で椿は静かに食べていた。
夢斗がふと顔を上げる。
「そういや椿って、普段何してんの?」
「普段?」
「学校終わったあと」
「帰る」
「それだけ?」
「それだけの日もある」
「つまんな」
「余計なお世話だ」
天馬が笑った。
「夢斗は?」
「友達と遊ぶか、家でゲーム」
「普通だな」
「普通で悪いか!」
海斗も笑う。
さっきまで七人を相手に喧嘩していたとは思えない時間だった。
食事を終え、四人は店を出る。
「じゃあ俺、こっち」
海斗が手を上げた。
「また明日」
「おう」
夢斗も途中で別れる。
残った天馬と椿は並んで歩いた。
「なあ、椿」
「何?」
「今日、本当にたまたま通っただけ?」
椿は少し黙った。
「半分はな」
「半分?」
「最近、お前の名前を聞くことが増えた」
天馬の表情が変わる。
「またそれか」
「俺のクラスでも話してる奴がいた」
「そんなに?」
「ああ」
椿は前を向いたまま続ける。
「このままだと、もっと面倒な奴が来るぞ」
「桐生先輩にも言われた」
「桐生?」
「三年の先輩。強い人」
「へえ」
椿が少し興味を示す。
天馬は頭の後ろで手を組んだ。
「俺、普通に学校通ってただけなんだけどな」
「もう普通じゃなくなってるだろ」
「誰のせいだよ」
「お前自身じゃない?」
「それ言われると何も言えねえ」
二人が笑う。
分かれ道に着く。
「じゃあな、秋山」
「おう。また明日」
椿が歩いていく。
天馬も反対方向へ向かった。
喧嘩だけではない。
こうして一緒にいる時間も、少しずつ増えていた。
そして翌日。
校門の前で桐生拓真が待っていた。
「秋山」
天馬が足を止める。
「桐生先輩?」
桐生はいつものように笑っていなかった。
「ちょっと付き合え」
「何かあったんですか?」
「ああ」
桐生が短く答える。
「昨日の奴らのことで分かったことがある」
第18話 完




