第14話「広がる抗争」
六人が去ったあと。
天馬たちは広場に残っていた。
「先輩」
海斗が桐生を見る。
「尾張で同じようなことが起きてるって、どういう意味ですか?」
桐生は近くのベンチに腰を下ろした。
「そのままの意味だ」
天馬たちも集まる。
「最近、学校同士の揉め事が増えてる」
「喧嘩なんて前からあるでしょ?」
夢斗が聞く。
「ああ。でも今は違う」
桐生が続ける。
「一対一の喧嘩じゃない。何人かで固まって、別の学校の奴らを潰してる」
天馬が眉を寄せる。
「さっきの奴らみたいに?」
「そうだ」
「何で急に?」
「それが分からねえ」
桐生は立ち上がった。
「ただ、東だけじゃない。別の場所でも似た話を聞く」
海斗が腕を組む。
「誰かがまとめてる可能性もあるってことか」
「かもしれないな」
天馬は少し考える。
「俺には関係ない話だったはずなんだけどな」
夢斗が笑う。
「もう無理じゃね?」
「何で?」
「お前の名前、広がってんだろ?」
海斗も笑う。
「向こうから来るよ」
「最悪だな」
そう言いながらも、天馬は笑っていた。
桐生がその様子を見る。
「秋山」
「はい?」
「一つだけ覚えとけ」
桐生の表情が変わる。
「今までみたいに、数人倒して終わると思うな」
天馬は黙って桐生を見る。
「尾張には、俺より強い奴もいる」
夢斗が反応する。
「先輩より?」
「ああ」
桐生は迷わず答えた。
「何十人もまとめてる奴だっている」
「何十人……」
海斗も表情を変える。
桐生は鞄を持ち上げた。
「俺は行く」
「先輩」
天馬が呼び止める。
「また会えますよね?」
桐生は振り返った。
「嫌でも会うことになるだろ」
それだけ言って歩いていった。
残された三人は顔を見合わせる。
「どうする?」
夢斗が聞く。
天馬は少し考えた。
「とりあえず帰る」
「普通!」
「腹減ったんだよ」
「じゃあ飯行こうぜ」
三人も広場を離れた。
その夜。
別の場所では、数人の高校生が集まっていた。
「今日、東側の奴らがやられた」
「誰に?」
「桐生拓真。それと三人」
一人の男が顔を上げる。
「三人?」
「その中に秋山天馬がいた」
少しだけ沈黙が流れた。
「……またそいつか」
男は立ち上がる。
「一度、直接見てみる」
天馬の知らないところで、その名前はさらに広がっていた。
第14話 完




