第13話「四人の共闘」
広場に張り詰めた空気が流れる。
天馬、夢斗、海斗、桐生。
その正面には六人の男たち。
「桐生!」
一人が真っ先に飛び出した。
「お前からだ!」
「来いよ」
桐生は拳をかわし、そのまま相手の腹へ拳を叩き込む。
「ぐっ!」
だが、もう一人が横から桐生へ迫った。
「先輩!」
天馬が間に入る。
振り下ろされた拳を腕で受け、相手を押し返した。
「俺がやります」
「余計な心配すんな」
桐生は笑う。
「自分の相手を見ろ」
「後ろ!」
海斗の声。
天馬が振り返る。
拳が飛んでくる。
間一髪で避けた。
「危なっ!」
「二人で来るぞ!」
夢斗も別の二人と向かい合っていた。
「俺、二人かよ!」
一発を避ける。
しかし、もう一人の拳が夢斗の肩に入った。
「っ……!」
「夢斗!」
「平気!」
夢斗は踏み込む。
正面の男の頬へ拳を叩き込んだ。
海斗も一人と激しく殴り合う。
「おらっ!」
「ぐっ!」
拳を受けながら、海斗もすぐに返す。
広場のあちこちで拳がぶつかる。
その中で天馬は、目の前の二人を見る。
右から一人。
少し遅れて左。
「……来る」
身体が自然に動いた。
右の拳をかわす。
その男の腕を掴み、もう一人の前へ押し出した。
「邪魔だ!」
二人の動きが重なる。
その隙に天馬が踏み込む。
一発。
二発。
一人が地面へ倒れた。
「天馬!」
夢斗の声が響く。
振り返ると、夢斗が二人に挟まれている。
天馬が走ろうとした。
だが、その前に桐生が動いた。
「どけ!」
夢斗へ殴りかかろうとした男を横から蹴り飛ばす。
「うわっ!」
夢斗が目を丸くする。
「先輩、助かりました!」
「油断すんな!」
「はい!」
残った男たちが一度距離を取った。
「こいつら……」
息を切らしながら天馬たちを見る。
桐生が前へ出る。
「まだやるか?」
男たちは倒れた仲間を見る。
「……覚えてろよ」
仲間を起こし、広場から離れていった。
夢斗がその場に座り込む。
「疲れた……」
海斗も息を吐く。
「六人はさすがに面倒だな」
天馬は桐生を見る。
「先輩」
「何だ?」
「こいつら、何なんですか?」
桐生の表情から笑みが消える。
「言っただろ。尾張の東側で動き始めた連中だ」
「何のために?」
「そこまでは知らねえ」
桐生は男たちが去った方向を見る。
「ただ、最近あちこちで同じようなことが起きてる」
夢斗が立ち上がる。
「じゃあ、また来るかもしれないってこと?」
「ああ」
桐生が天馬を見る。
「たぶん、これで終わらねえぞ」
天馬も静かに頷いた。
「なら、次もやるだけです」
桐生は一瞬黙り――笑った。
「やっぱ面白えな、お前」
尾張で始まった小さな抗争。
それは少しずつ、天馬たちを巻き込み始めていた。
第13話 完




