↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
戦国アウトロー  作者: 石蒜
第1章「覇王の目覚め」
PR
10/80

第10話「最初の衝突」

夕暮れの公園。


天馬、夢斗、海斗、そして椿。


四人はベンチの近くに集まっていた。


「それで、話って?」


天馬が椿を見る。


椿は少し黙ってから口を開いた。


「秋山、お前のことだ」


天馬が眉を寄せる。


「俺?」


「最近、お前の名前が広がりすぎてる」


海斗が腕を組む。


「昨日の一件だけじゃないってことか」


「そういうことだ」


椿は続ける。


「別の学校にも、お前の名前を聞いた奴がいる」


夢斗の表情が変わる。


「ダルいなぁそれ…」


「まだ大きな動きじゃない。ただ……」


椿が天馬を見る。


「これから喧嘩を売ってくる奴は増えると思う」


天馬は少し考えた。


「だったら、逃げる理由もないな」


「そう言うと思った」


椿は苦笑した。


「でも、一人で突っ込むな」


「分かってる」


海斗が笑う。


「それ、俺たちもいるからな」


夢斗も頷いた。


「三人じゃねえぞ」


椿を見る。


「四人だろ」


椿は一瞬だけ目を丸くした。


「……俺も入ってるのか?」


「おう!」


海斗が笑う。


天馬も笑った。


「この前の喧嘩一緒にしたろ?」


「この前だけだろ」


「細かいことはいいじゃん」


夢斗が笑いながら割って入る。


椿は少し困った顔をしながらも、否定しなかった。


その時だった。


公園の入口から声が飛んできた。


「秋山天馬ってのは、そいつか?」


四人が同時に振り返る。


入口に三人の男が立っていた。


制服は、この近辺では見ないものだった。


中央にいる男が一歩前へ出る。


「誰だ、お前ら」


天馬が尋ねる。


男は鼻で笑った。


「俺は鳴海拓真」


隣の二人を指す。


「こいつが柴崎蓮。そっちが川島修司」


三人とも、天馬から目を離さない。


「お前の名前、最近聞くようになった」


鳴海が首を鳴らした。


「どんな奴かと思ったら、普通だな」


「よく言われる」


天馬が答える。


「ふざけてんのか?」


「別に」


鳴海の表情が険しくなる。


「なら、確かめさせてもらう」


夢斗が前へ出ようとした。


だが、海斗が腕を掴む。


「待て」


「何で?」


「まずは見ようぜ」


椿も天馬を見る。


「どうする?」


天馬は鳴海を見た。


「一人でいい」


鳴海が笑う。


「上等だ」


二人が公園の中央へ歩いていく。


「天馬!」


夢斗が声をかける。


「大丈夫」


天馬は拳を握った。


鳴海も構える。


「行くぞ!」


先に動いたのは鳴海だった。


一気に距離を詰め、右拳を振り抜く。


天馬は身体を横へずらした。


拳が頬の横を通過する。


「速いな」


天馬が呟く。


「余裕ぶっこいてんじゃねえ!」


鳴海が続けて左を放つ。


天馬は腕で受けた。


衝撃が響く。


「……重い」


次の瞬間。


天馬の身体が前へ出た。


拳が鳴海の腹へ入る。


「ぐっ!」


鳴海が後ろへ下がる。


夢斗が声を上げる。


「入った!」


だが、鳴海は倒れなかった。


腹を押さえながら顔を上げる。


「……なるほど」


口元を拭う。


「噂になるだけはあるな」


天馬は構え直す。


「まだ終わってないだろ」


「ああ!」


鳴海が再び突っ込む。


二人の拳がぶつかった。


その瞬間。


公園の外から、別の声が響く。


「拓真!」


鳴海の動きが止まった。


四人が入口を見る。


そこには、さらに数人の男が立っていた。


その中の一人が、ゆっくりと前へ出る。


「ここでやる話じゃない」


鳴海が振り返る。


「でも、こいつが――」


「分かってる」


男は天馬を見る。


「秋山天馬だな」


天馬は黙って見返した。


男はそれ以上近づかなかった。


「今日は帰る」


鳴海が不満そうにする。


「おい!」


「拓真」


低い声。


「帰るぞ」


鳴海は舌打ちした。


「……分かったよ」


三人が歩き出す。


その後ろを、男たちも続いていく。


夢斗が呟いた。


「何だったんだ、今の」


海斗は入口を見たまま答える。


「分からない」


椿も男たちの背中を追っていた。


「でも、ただの喧嘩じゃない」


天馬は黙っていた。


拳を見る。


さっきも、身体が勝手に動いた。


鳴海の拳を避けた瞬間。


次にどこへ動けばいいのか。


頭で考えるより先に分かっていた。


「……まただ」


椿が聞く。


「何が?」


「いや」


天馬は拳を握り直した。


「何でもない」


四人は公園を出る。


夕暮れは、もう夜へ変わり始めていた。


そしてその頃。


公園から離れた路地。


鳴海たちの前を歩いていた男が足を止めた。


「秋山天馬」


その名前を口にする。


「思ったより早いな」


鳴海が振り返る。


「何が?」


男は答えなかった。


ただ、来た道を一度だけ振り返った。


「次は、俺たちの番だ」


第10話 完

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。