残酷な異世界
金属が何かにぶつかる音が聴こえる。
嘉一は音のした方を見た。
教会で、ゼノが、男の振り下ろした剣を杖で受け止めている。
そのまま、ゼノが発動した魔法で、男は倒れて死んだ。
「あー、面倒臭かった。まさか、入れ替わりの魔法が発動した途端、敵討ちたい奴が襲って来るなんてなぁ。魔法、失敗したかなぁ」
ゼノを凝視したまま、嘉一が「あんた……さっきの夢に出て来た奴だよね……?」と口にする。
「ユィンが何か、余計な物でも見せたか? 俺はゼノ。ここはラジアン。あんたが行きたがってた、異世界だよ」
「異世界? おれ、まだ夢見てるの?」
耳をつままれて、嘉一が顔を歪める。
嘉一から手を離し、「現実だよ。痛いだろ?」と、ゼノが聞く。
つままれた耳に手を当て、嘉一は、信じられないものを見る目をゼノに向けた。
「ここ、異世界なの? ……本当に?」
「俺の目に狂いは無かったね。馬鹿だなぁ」
予想外の言葉に「馬鹿って、なんだよ」と反論した嘉一に、ゼノは「言葉通りだよ」と返し、納得いかない様子の嘉一を見た後、視線を動かした。
「とりあえず、場所、移動しない? こいつの仲間が近くに居たら、ヤバいし」
床に倒れている遺体を指さされ、嘉一は、言葉を失った。
「ここじゃ、殺らなきゃ殺られる。可哀想とか思ってたら死ぬよ?」
何も言えない嘉一を置いて、ゼノが歩き出したので、嘉一は急いで、その後を着いて行った。




