↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最恐魔導士は、おれがお嫌い  作者: 水桜崎 有叉杜
最終章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
61/62

人の来ない森の中で

 後日、嘉一は、ゼノが目くらましの魔法を掛けた森の中の住みかで暮らしていた。

 嘉一を見ているゼノは、口を開く。


「気が変わったら、俺の名前を呼びな。目くらましの魔法、解いてやるから。殺すのも殺されるのも、もうたくさんだから、孤独に生きて行く事を選ぶなんてな。たまにはルサナを、よこしてやるし、宿の女将さんにも会いに行ってやれ」


「会いに行くなら、ゼノも一緒にね」と、嘉一は笑顔を返す。


「当然だろ。俺は多分ここに来ないけど」

「ゼノは来ないんだね」

「絶対っていう訳じゃないけど」


 嘉一が、笑う。


「ヴァン、良い人だよね」

「……まぁな」

「付き合わないの?」

「ヴァン次第だ」

「この後、会いに行くの?」

「反転が治まったからな」

「ヴァンには言ってあるの?」

「突然行くから、反転治まってるのに気づかないかもな」

「女になってても、その事に、俺も始め気づかなかったもんね」

「思ったより早く反転、治まったしな」

「そうだね。二か月だっけ?」

「……嘉一」


 嘉一が、ゼノに視線を向ける。


「本当に良いのか」

「うん」

「ここに一人で居るのか」

「そうだね。きっと、ゼノを呼ぶのは死にたくなった時だよ。ユィンの様子、見れる機械、置いて行ってくれて、ありがとうね」


 他の世界の様子を見れる小型の機械が、机の上に置かれている。

 それは、ユィンが嘉一の居る日本を見ていた機械と同じものだ。


「物好きな奴だな。そんなに元の世界が好きか」

「この世界に比べれば極楽だ。戻れないなら、せめて見ていたい」


 嘉一は、装置で、元の世界を見ている。


「ラジアンでゼノやルサナに会えた事は楽しかったけど、そこに在る幸せに気づけてたら、今も、元の世界に居られたのかな。……戻れるなら、戻りたいな」

「悪かった。お前は、死にたいとか言わないでくれ」


 ゼノに謝られて、嘉一は「気をつけるよ。でも、言ったら、ごめんね」と、微笑んだ。


「胸糞悪いな。ユィンに、よく似てる」

「ゼノが会いに来てくれる限りは死なないけどね」

「……死ねよ。本当」

「おれが死んだら泣いてくれるのに、よく言うね」

「思い上がんな」

「ゼノと友達になれて良かった」

「馬鹿かよ」


 ゼノが腕を組み、背を預けた壁に寄り掛かる。

 嘉一は、ゼノを見る。


「ゼノ。俺を異世界に連れて来てくれて、ありがとう」


 ゼノは、少しだけ苦笑したような笑顔を嘉一に向け「お前が馬鹿で良かったな」と呟く。

 嘉一が、ゼノに「うん。おれ、馬鹿で良かった」と笑い返す。

 眩しいものでも見るように、ゼノが「お前の望みは叶うよ。それだけ言っとく」と、目を細めた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。