ヴァンの本音
ヴァンの住む屋敷の外で、嘉一とゼノとルサナは、屋敷の方を見ていた。
嘉一が「ヴァンは、まだ、ナラさんの傍に居るの」とゼノに聞いた時、屋敷の中から、ヴァンが出て来た。
「死の瞬間、笑えるほど、兄さんは、つらかったんだな……」
ゼノが、「今頃、魂の片割れを見つけて、あの世に行ってるさ」と、ヴァンを見る。
ヴァンは「ありがとう。嘉一のおかげだ」と、泣いたような目元で、嘉一を見た。
「ナラさん……いつ生まれ変われるのかなぁ」
嘉一の言葉を聞いて、ゼノが「それなんだけどさ」と腕を組んだ。
「ヴァン。お前、将来、子ども産む気、有るか?」
「私は……どちらかといえば女性の方が好きだ」
「男がパートナーでもいいんだろ?」
「……ゼノは私に興味が有るか」
ルサナが「やっぱり、ヴァンさん、ゼノの事、気になってたんだ」と笑う。
「理想通りなんだ……」
「そうかよ。こちとら女の自分は大嫌いなんだけどな」
「そんなに綺麗なのに、もったいない……」
ヴァンが、そう言い、ルサナが「ゼノ、応えちゃいなよ」と、また笑い、ゼノが「女の俺に惚れられてもねぇ……」と、興味無さそうに答える。
「反転してる時のゼノって妊娠できそうなんでしょ? 代わりに産んであげれば?」
ルサナの冗談に、珍しく落ち込んだような表情をゼノが見せ、嘉一が「代わりに産んであげるって、どういう意味?」と聞く。
「ゼノは魂が、どこに生まれ変わるか操作出来るんだよ」
ルサナの答えを聞いたヴァンが「つまり……?」と、話の続きを促す。
「ナラをヴァンの子供として生まれ変わらせようと思えば出来るって事だ」
ゼノの返答を聞き、ルサナが「魂は、生まれた時は綺麗なんでしょ?」とゼノを見る。
「例外も有るけどな」
腕組みを解いて、ゼノがヴァンに視線を遣る。
「悪くなるかは育ち方次第だ。ナラは親の役に立ちたい一心で、性格が歪んだんだろう。まともな環境で育てば、ナラの魂は悪くならなかった」
「生き返らせても魂が苦しむ人は、ゼノは生き返らせないんだよね」
ルサナが、それ以上、何も言わないので、ヴァンは「反転は、いつ治まる?」と、ゼノに聞いた。
「今回、無茶したからなぁ……三か月……いや、四か月後かな……」
「男のゼノも、大して変わらないのか?」
「多分」
「会いに行っていいか?」
「……構わないけど……」
二人の会話を聞いていたルサナが「ヴァンさん、お料理、頑張ろうね!」と、ヴァンに笑い掛け、嘉一が「なんで料理?」と尋ねると、ルサナは「胃袋さえ掴めば、こっちのもん!」と嘉一に答えた。
ゼノが「俺の何を知っている?」と言い、ルサナが「見た目は気にしないって事!」と返した。
「ヴァンは美人だけどな」
ゼノに、そう言われたヴァンが、じっとゼノを見たので、ヴァンとゼノの目が合った。
直後、ゼノが、目を逸らす。
「そんなに見るな。どうしていいか分からない」
ルサナが「過去のトラウマのせいで、あんまり見られると怖いんだよねぇ」と笑った。
「反転してなくても怖いかもな……」
嘉一は「包丁突きつけられたとか言ってたもんね……」と、ユィンが見せてくれた記憶を振り返る。
ゼノは、辺りに倒れている大勢の敵を見る。
「こいつらさえ来なけりゃ無茶せずに済んだのに……」
「嘉一とヴァンさんに任せても大丈夫そうだったのに……。ゼノだよねぇ」
「嘉一とヴァンは強かったけど、女性が戦ってるのに、何もしないなんて出来るか」
ルサナは、ゼノと、そんな話をした後、ヴァンの家に向かって歩き始め「じゃあ、ナラさん弔って、マカロン買ったら、お家に帰ろう」と言った。
「ヴァンさんは、まだゼノを護衛したい?」
ルサナの問いに、ヴァンが答える前に、ゼノが「反転してなければ必要無い」と返す。
嘉一がゼノを見て、ゼノも、嘉一を見る。
「ルサナから聞いた。反転が治まったら、望み、叶えてやるよ」




