塩対応のゼノ
ゼノが、ヴァンの家のキッチンに居ると、ヴァンの兄であるナラがキッチンの戸を開けて、現れた。
「美人だね。目の保養だなぁ」と、のたまうナラの後を追い掛けて来たヴァンが「ナラ!」とナラの肩を掴む。
「客人なんだ。何もしないで」
ヴァンの言葉に、ナラは「美人は口説かれる為に居るのに?」と、笑う。
ゼノは「あいにく俺、男には興味無くてね」と疲れたような表情になる。
「それは残念」
ゼノの方へ向き直ったナラが「じゃあ、君の気が変わるまで待とうかな。人は気まぐれだからね」とゼノの傍に来た。
「あんたが見て来た人間が、そうだったってだけじゃねぇの? 世界が狭いんスね」
「そう思うなら、君が広い世界を教えてくれる?」
「ははは……死ねよ」
「言われ慣れてるから、何ともないね」
ナラとの会話に、一層、疲れたような表情を見せたゼノは、「料理の邪魔。ヴァン。連れて行って」と言った。
ヴァンが、ナラの肩を、もう一度、持ち「兄さん。帰ろう」と声を掛ける。
「僕の分も作ってくれると嬉しいなぁ」
笑顔のナラに、ゼノは「今からかよ。せいぜい、目玉焼きくらいだな」と適当な返事をする。
「何でも嬉しいよ。君が食べさせてくれるなら」
「……うぜぇ」
「美人には何言われても嬉しいな」
「さっさと去れ」
「じゃあ、また後でね。ゼノ君」
ヴァンがナラを連れてキッチンを去った後、ゼノが「……面倒くせぇ奴ばっかり」と呟いた。




