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最恐魔導士は、おれがお嫌い  作者: 水桜崎 有叉杜
第七章

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部屋割り

 ゼノが「どこの御子息? 良い家だね」と言う。


「父が二つ会社を経営していて、成功しているので」

「ゆくゆくは、あんたが跡取り?」

「会社は兄が継ぐと思います。二つも要らないかもしれませんが」

「お兄さんも警備員?」

「ごく潰しです」


 階段の近くで、ヴァンが「兄の部屋が二階に有るので、入らないように」と説明する。

 ゼノとヴァンの会話を聞いていたルサナが「私達のお部屋は一階なの?」と聞いた。


「あそこと、あそこです」


 ヴァンが、リビングを挟んで、右側と左側に有る部屋をそれぞれ、手で示す。

 部屋は正反対の位置に有り、お互いの部屋は離れている。

 ゼノが「……遠くない?」と尋ねる。


「客間が他に無いもので」

「これだけ広いのに無いの?」

「はい」

「本当に?」

「一番安全だと判断しました」

「安全?」

「兄は女好きなので」

「……あんたの部屋は?」

「階段を上がってすぐの部屋です」


 ルサナが、ゼノを覗き込むようにして「楽しそうだね! お世話になるんだから、お料理くらい作る?」と、首を傾げる。

 ゼノは「また、余計な事を……」と言い掛け、ルサナが、「家政婦さんが居るなら何もしないけど」とヴァンの方を見る。


「普段は私がやっていますが、私も手伝いましょうか?」


 ヴァンの言葉に、ルサナは「お兄さんの分も要る?」と質問した。


「兄には私が持って行きますので大丈夫です」

「だってさ。ゼノ、お願いね」


 どこか楽しそうなルサナを見ながら、ゼノは「……なら、俺一人でやる。誰も手伝うな」と言い切った。

 ヴァンが「いえ、私も……」と何か言い掛けたが、ゼノは「兄貴が来ねぇようにしてくれ」とだけ返す。

 嘉一は、ヴァンの兄の部屋が有ると言われた、二階を見た。


「お兄さん、どんな人なんだろ……」


 ゼノが「ごく潰しって、さっき聞いたろ」と言い、嘉一が「……どんな風に?」とヴァンを見る。


「父のお金を任されていますが、何に使っているのか分かりません。きっとカジノで負けてるんですよ」


 ヴァンの答えに、ゼノは「そうかねぇ?」と疑問形で返した。

 その言葉に、ヴァンがゼノの目を見た。


「あんた、兄貴の事、信じ過ぎじゃない?」


 ゼノに聞かれて、ヴァンは「……そうでしょうか……」と表情を変えずに答えたが、彼女は、元から、あまり表情を変える方では無い。


「嘉一が殺した賞金首の兄貴の例も有るしな」


 ヴァンは「あれは……」と、言い掛けたが、ゼノは続けた。


「目に見えるものが全てとは限らないよ?」

「ゼノさんは、何かご存知ですか……」


 少しの間が有り、ゼノが何も答えないのに気付いたルサナが「お部屋見たいな。こっち?」と、リビングの右側の部屋を指さした。

 ヴァンが「いえ、こちらです」と、左側の部屋を手で示す。

 ルサナが「階段から遠いね」と面白そうに言う。


「ええ。兄から離れられるように」


 ヴァンの返答を聞いたルサナは、示された部屋に向かって歩いて行った。

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