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最恐魔導士は、おれがお嫌い  作者: 水桜崎 有叉杜
第七章

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問いと答え

 風の音がして、気づいたら、嘉一は闘技場に居た。


「ゼノ! 出してよ!」


 嘉一が、声の方を見る。

 ルサナが、闘技場の観客席の、鉄格子の有るスペースの内側に居て、外に出れない様だ。

 ゼノはルサナを見て「あぶねぇから、そこに居ろ」と言う。


「捨て台詞の事なら謝るから!」

「もう、お前には怒ってない」


 ゼノが、嘉一に向けて魔法を発動させる。

 襲い掛かってきた炎に、嘉一は、授華呪で対応し、水を出して、炎を消した。

 ゼノは、嘉一を強く睨むように見る。


「今回の反転は、元はと言えば、お前の死にそうな心の声が聴こえた事が原因なんだよ」

「それは……ゼノが一人にするから……」

「お前、俺と友達になりたかったんだっけ? 馬鹿だよなぁ」


 ゼノは苦笑し、「あれだけ、俺の極端な言動見てて「どうしたら好きになってくれる?」だもんな。笑えるわ」と吐き捨てた。


「俺の事なんか嫌いになって当たり前でしょ? ユィンの姿で、あんまり馬鹿な事、言わないでよ」

「ゼノは、おれに嫌いになってほしいの?」

「……ユィンと入れ替わった奴が馬鹿なら、情なんか湧く訳無いと思ってたのになぁ。なんで、そんなに馬鹿なの」


 ルサナが鉄格子を握る。

 ゼノは「死ねよ。お前見てると、ユィンは、もう居ないんだって思い知る」と、嘉一を見た。


「そんなに大事だったなら、どうしてユィンを、おれと入れ替えたの」


 嘉一が視線を向けた事で、ゼノと嘉一の視線が合う。

 視線を逸らさずに、ゼノが「ユィンに生きて欲しかったから」と返す。

 二人を見たまま、ルサナが「私は、ゼノの気持ちに気づかないまま、生きようともしないユィンが嫌いだった」と口に出した。

 ゼノと嘉一が、ルサナの方を見る。


「……ああ。俺も本当は嫌いだった。あいつにとって俺は、友達ですら無かった」


 三人が、黙り込む。


「だからユィンがラジアン以外の世界に興味を持った事は、仕方ないんだ」


 ルサナが「ユィンは嘉一の世界に行って、幸せなんだよね?」と、ゼノに尋ねた。


「こっちが虚しくなるほどな」

「ねぇ、ゼノ。嘉一はユィンじゃないんだから、重ねて考えるのは止めてあげて」


 どこか必死なルサナは、ゼノを真っすぐ見る。


「本当にゼノが死んでほしいのは、嘉一じゃないんだから」


 ルサナのその様子に、ゼノが「そうだな。俺が馬鹿だった。嘉一は、ただの良い奴だ」と言い、嘉一を見て「悪かった」と謝った。

 嘉一は「なんで謝るの。おれが馬鹿だったのが悪いんでしょ?」と、ゼノに聞く。


「嫌われたくて、ひどい事を言った。すまなかった」


 少しだけ、目を見開き、嘉一は「ゼノ……」と口にした。

 ゼノは、間を空けず、「……という発言を鵜呑みにする、お前が嫌い」と返した。

 嘉一が「そうなの?」と尋ねると、ゼノが「お前の反応、見ただけだよ」と、本心が分からない言葉を返す。

 そのタイミングで、闘技場の入り口から、ぞろぞろ人が入って来た。

 ルサナが、入って来た大勢の人を見て、「え? え? 何なの?」と言った。

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