ルサナ、ゼノの着ている服の胸元を切り裂く
ゼノの家の前で、ルサナが玄関のドアベルを鳴らす。
「ルサナ……おれ、やっぱり……」
嘉一が、そう言い掛けると、ルサナは「ここまで来たんだから、帰るとか言わないでよ?」と返した。
ルサナは、ドアを何度もノックし「ゼノー! 居るんでしょー!?」と声を上げた。
玄関のドアが家の中から、勢いよく開く。
ゼノが、ぶかぶかのパーカーにジーンズ姿で、ドアの向こうから現れた。
嘉一は、ゼノが腰までの長い髪を後ろで一つに束ねているのを見て「ゼノ……髪……」と驚く。
横目で嘉一を見たゼノは、嘉一を無視してルサナに視線を向け「何の用だよ、ルサナ」と尋ねる。
「嘉一から、ゼノが杖持たずに魔法、使ったって聞いたから来たの」
「嘉一に話したのか?」
「ゼノが今、普段以上に、へっぽこ魔導士って事?」
「そうそう、移動の魔法すら使えねぇ役立たず……って、ルサナ、てめぇ」
ゼノが、ルサナを強く睨む。
ルサナは動じずに「……で、体は大丈夫なの?」と聞いた。
「おかげさまで反転してるよ」
「前の時は一か月くらい、そのままだったよね。今回も、そんな感じ?」
「後二週間は、このままだ」
「だから、ぶかぶかの洋服なんだね」
ルサナが、ナイフをポケットから取り出し、ゼノとの距離を詰め、ゼノの胸元の服を横に大きく切り開く。
ゼノが急いで胸元を押さえるが、切り裂かれた服の隙間から、タンクトップの襟部分が覗き、控えめな胸の谷間が見えた。
嘉一は、その光景に「……へ?」と、間抜けな声を出す。
「やっぱり性別も反転してる。ね? 嘉一、面白いでしょ?」
ルサナに聞かれて、嘉一は「ちょっと面白いね……」と困惑を隠さず声に出した。
ゼノは「髪も勝手に伸びるんだよな……。本当、面倒くせぇ……」と、苦々しげに言う。
「とりあえず家に入れてよ。立ち話も、なんでしょう?」
ルサナのその言葉に、嘉一は「いや、おれは……」と断ろうとし、ゼノを見る。
ゼノは、嘉一の方を見ないまま「入れよ」と家の中に視線を移した。




