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最恐魔導士は、おれがお嫌い  作者: 水桜崎 有叉杜
第七章

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ルサナの知るゼノの秘密

 一週間後、ルサナの家の外で、嘉一は薪割りをしていた。

 少しだけ休むように、斧を地面に置いた嘉一は、ため息をつく。


「しばらくか……。いつまで、ここに居ていいんだろうな……」


 薪をセットし、嘉一は「ずっと、世話になる訳には行かない……」と呟いた。

 薪割りを再開した嘉一が「誰にも見つけられない場所で、一人で居たいな……。元の世界に戻れないなら、もう、どうでもいい……」と口にする。

 嘉一の背後から、ルサナが現れる。


「力の有る魔導士なら出来るかもよ? 目くらましの魔法とか使えば」


 ルサナを見た嘉一が何も言えずに居ると、ルサナが「ゼノに頼めば?」と言った。

 思わず、ルサナを見つめた嘉一の視線に気づいたルサナが「ゼノが、へっぽこ魔導士じゃないの、知ってるよ。ゼノの悪評は聞く事有るもの。最凶の魔導士って。病弱だった私が丈夫になるように、「おまじない」とか言って、魔法掛けてくれたのもゼノだし」と苦笑した。


「ゼノは、ルサナが頼めば、おれの為に力、使ってくれる?」

「ゼノが本当は凄い魔導士だって気づいてる事、ゼノにバレてもいいなら頼めるかもしれないけど……」

「そっか……。じゃあ、駄目だね」

「バレた方が、ゼノも楽かなぁ」

「黙ってた方が良いよ。ゼノが、それを望んでるなら」

「でも……」

「ごめんね。薪割りくらいしか出来なくて」


 相変わらず、生きる気力を無くした事が雰囲気に出ている嘉一に、ルサナは「ゼノに話してみようか?」と、心配する表情を向ける。


「おれが、ゼノから余計に嫌われるだけだよ。……ルサナは、家の中に居た方がいいんじゃない? もう寒い時間だし」

「ゼノに会いに行ってみない?」

「ルサナだけ行った方がいいよ。ゼノは、おれの事、嫌いだから」


 嘉一に言われて、ルサナが、黙り込む。


「もう少し薪を割ったら、おれも家に戻るね」

「本当? 約束だよ」


 黙ったまま、嘉一が薪を割り始め、ルサナは、嘉一を見た後、家の中に入った。




◇◇◇




 後日、ルサナの家から少し進んだ場所で、嘉一が夕日を見ている。


「そろそろ、他の場所に行こうかな……。これ以上、迷惑掛けられないもんな……」


 歩いた嘉一は、立ち止まり、「どこに行くんだ……」と呟き、座り込む。


「ルサナが心配するかな……」


 嘉一の右肩に手が置かれ、そちらに視線を向けた嘉一は、ルサナが傍に来てくれた事に気づく。

 ルサナが、嘉一の両頬を、つまんで離した。


「私が小さい頃、ゼノの顔つまむと笑ってくれたの。最近あんまり笑った所、見た事無いけど、ゼノはユィンの前じゃ笑ってた」

「ゼノのそういう笑い顔、見た事無いな……」

「……ゼノ、最後、どんな様子だった?」

「別に普段と変わらない……」

「やたら早く、魔法を切り上げたりしなかった?」

「どうだろう……ユィンの様子、見せてくれたんだけど、あれ以上、見せてくれなかったのは、ただ、面倒くさかったんじゃない?」

「杖は持ってた?」

「忘れて来てたけど……」

「嘉一君、やっぱり明日、ゼノの家に行こう」

「どうして?」


 その疑問に、ルサナは「私、昔にゼノの杖、隠した事が有るの。今度も同じじゃないかなぁ」と答えた。


「杖が無くても、大丈夫そうだったよ?」

「杖は補助だから、無いまま魔法を使うと魔力が反転するの。しばらく魔力が低いままだと思うよ」

「えっと……。どういう事?」


 ルサナが「面白いゼノが見れるって事」と楽しそうに笑った。


「それって、見ても、おれ、嫌われない?」

「うーん。分かんない」

「……明日、行くの?」

「嘉一君も一緒にね」


 嘉一は、にこにこ笑っているルサナを見る。

 ルサナは嘉一の手を引き「今日は帰ろう」と、自宅の方へ、嘉一を連れて行った。

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