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言い残した事の全ては言えなくて
建物の外に出たゼノは、嘉一を地面の上に仰向けの姿勢で寝かせた。
嘉一が、おぼろげな視界で、ゼノを見る。
「おれ、死ぬの……?」
「当たり前だろ」
「死にたくない……」
小さな声で、そう話した嘉一に、ゼノは「追われるよりマシかもよ?」と、興味無さげに返した。
「ゼノと居たい……」
「俺、お前に好かれるような事したっけ?」
「入れ替わる直前、ユィンから『ゼノを頼む』って言われた……」
「そういや、ラジアンに来てすぐ、おれの事『夢に出て来た奴』とか言ってたね。ユィンが何を見せたの」
「ゼノがユィンを助けてから、一緒に暮らしてた頃の記憶……」
少しの間、黙ったゼノが「ユィン……余計な事しやがって……」と、困ったような表情になる。
「ゼノはユィンには優しかったんだね……」
「銃で胸打たれたんだもんな。そろそろ、花錬族でも死ぬ。言い残した事は有るか?」
「ゼノ……あり……」
嘉一が、それだけ言って、目を閉じる。
ゼノは、嘉一の首元に指で触れ、脈が無い事を確かめた後「死んだか」と口にした。
杖を構えたゼノが、面倒そうな表情で、嘉一を視界に入れた。
「良かったね。俺が与命の魔導士で」




