燃え行くもの
人形の製造拠点に現れた嘉一とゼノは、壁際に、ずらっと並ぶ、人形達を見た。
「探して壊さない? って言わなかった!?」
慌てたような嘉一に、ゼノは「もう、場所の見当はついてたんだよねぇ」と返す。
「ここ、やっぱり製造拠点!?」
「この左側の機械さえ壊せば、二度と人形、作れなくなるはずなんだよね」
嘉一は、左側を見る。大きな四角い機械が有り、機械の窓から、シャーレの中で、何かが培養されているのが見える。
「この機械、魔法で壊すの時間掛かりそうなんだよね。ここ、見てよ」
ゼノが、機械の側面に有る、三角のマークを指さす。
「製造拠点、壊す前に、仲介所の機械、壊したら、もう今は死んじゃった魔導士が、魔法で壊せない魔法、掛けてたみたいでさ。その三角は、魔法が掛かってますよってマーク」
嘉一が「魔法なら魔法で解けるんじゃないの?」と三角のマークを見る。
「俺より相手の実力が上なんだわ。そいつ、百歳の誕生日に死んじゃったけど」
「ゼノが殺した訳じゃないよね……?」
「殺せば魔法、解けたかもな」
「……違うなら、いいや……」
「授華呪で水浸しにすれば壊れると思うんだけど。お前やれるよね?」
「うん……。やってみる」
嘉一は、水を呼び出し、機械に上から、大量の水を掛けた。
機械が、停止する。
ゼノが「じゃあ、帰るか」と言い、嘉一は「役に立てた?」と尋ねる。
「だったら嬉しい?」
「ゼノの役に立てたなら嬉しい」
「……帰るぞ」
杖を振ろうとしたゼノが、動きを止めた。
「やばいな……」
壁際の人形達が、壁から出て来て、ゼノと嘉一に向けて歩いて来る。
「やっぱり相手の方が上手だ。機械が壊れたら、工場内じゃ魔法が使えないように術が掛けられてる」
「それって……」
「お前が闘わなきゃ多分、死ぬ」
「ゼノも?」
「三割の確率で死ぬ」
「それ、どういう計算?」
「大体それくらいだと思うよ」
「適当じゃん」
「何も武器持ってないからね。生き残れたら奇跡」
「ゼノが危ないなら頑張る」
嘉一が、人形達に雷を落とす。
人形達、一瞬、動きを止めるが、嘉一達に向けて歩いて来る。
動じないまま、ゼノが「基本的に、授華呪での攻撃は痛みも無いから、やっぱり傀儡相手じゃ効かないか」と、冷静に口にする。
「じゃあ、どうすればいいの」
「人形だけ燃やせば?」
嘉一は、炎を呼び出し、人形達の方に炎を投げる。
人形達が居た床のマットに燃え広がり、嘉一は慌てた。
「上着脱いで消す事に使えば、火、消せると思う!?」
「水、呼び出した方が早くない?」
「あ……そうだった……」
人形達が炎に巻かれて倒れ、動かなくなった。
その様子を見ていたゼノが「死んだみたいだね」と、倒れた人形達を見る。
「じゃあ、逃げよう」
嘉一の、急くような言葉に「まぁいっか。工場、燃えちゃった方がいいだろうし」と、ゼノは出入り口に向かおうとする。
嘉一がゼノを追い掛け、二人は部屋を後にした。




