地下の工場
町の横の森の中で、歩いていたゼノが立ち止まる。
後ろに着いて行っていた嘉一も、その場で足を止めた。
「少し、良い事していかない?」
振り返ったゼノに、嘉一が「良い事?」と尋ねる。
「まぁ、着いて来な」
ゼノが、杖を振り、嘉一と消える。
建物の屋上に移動した後、目を開けた嘉一は「どこ?」とゼノに聞いた。
「ここから地下、行けんのかなぁ」
ゼノは答えず、そう言って、歩き始めて、扉が有る所で立ち止まり、杖を振ると、扉の鍵を開ける。
「多分、中、人居ねぇから、目くらましの魔法、解くぞ」
嘉一の周りを少し明るい光が覆い、消えた。
ゼノが、扉を開けて歩き始め、嘉一が、ゼノに着いて行く。
通路を歩く嘉一は「何も無いね」と口にした。
ゼノが「本番は地下」と答える。
「地下に何が有るの」
「人で有って人で無い物」
「……分かんないよ」
「見れば分かるよ」
嘉一とゼノが、地下に辿り着く。
並べられた机に向かい、単純作業をしている人間のような者達が、プラスチックの容器のような物を作っている。
嘉一は、作業をしている、人間のような者達に気づいて「うわっ。邪魔して、すみません」と口にする。
人のような者達は、誰も顔を上げず、何も言わない。
人のような者達には、髪を始めとした体毛が無く、みんな口が有る場所に口が無く、似たような顔をしている。
作業着を着た人のような者達を見て、嘉一は「何? これ……」と怖がり、ゼノに、しがみつく。
「人の細胞から作られた人形」
「人形……?」
ゼノは「給料払わなくていいから安上がりなんだってさ。みんな、魂らしきものが無い。金持ちの傀儡だよ」と、どこか吐き捨てるように言う。
ゼノが、杖を振る。
人のような者達が、一斉に机に突っ伏すようにして倒れた。
「嘉一、人形の製造拠点、探して壊さない?」
「どうして?」
「人として間違ってると思うから」
ゼノが杖を振り、嘉一と共に一瞬で、その場から消えた。




