↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最恐魔導士は、おれがお嫌い  作者: 水桜崎 有叉杜
第二章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
4/62

ユィンの過去

「嘉一」


 呼ばれて、夢の中で目を開けた嘉一は、教会の中、銀髪で紫色の目の十六歳くらいの少年が、自分の傍に立っている事を知った。

 同じ年頃の、その少年は、嘉一と初対面だ。

 少年は、立ち尽くしたままの嘉一に「誰?」と聞かれても、「君が嘉一だね?」と返した。

 嘉一の方に右手を伸ばした少年に、つられるように、嘉一も少年に右手を伸ばす。

 なぜ、そうしたのかは、嘉一にも分からない。

 二人の手が合わさった時、嘉一と少年は光に包まれた。




◇◇◇




「俺はユィンと言う。俺の記憶を見せる。ゼノを頼む……」


 ユィンの言葉と同時に、過去のものだと分かる記憶が、嘉一に、なだれ込んできた。

 今と年の頃は変わらないユィンが、森の中、飛び道具を持つ女子供達に取り囲まれて、血まみれで立っている。

 女子供は、海杜族(みとぞく)と呼ばれる一族で、ユィンに強い恨みを抱いている事が表情から分かる。

 ユィンが涙を流した時、どこからか現れた、赤い髪で緑の目のゼノが、ユィンの手を取った。


「原因を作ったのは、あんた達の方だろ。自分達の事は棚に上げるの?」


 ゼノの言葉に、その左手を掴まれたまま、ユィンが続ける。


「どれだけ恨まれようが、お互い様だ」


 発生した水が、ユィンの右腕を覆うように凍って行き、指の先で尖り、刃物のようになった。


「女子供だけで、花錬族(かれんぞく)に敵うと思っているなら、来い」


 ユィンと、睨み合う海杜族の女子供を見ながら、ゼノが言う。


「こいつの言う通りだと思うよ? 授華呪(じゅかじゅ)の餌食になりたいなら、止めないけど」


 海杜族の女子供達は、ゼノの言葉に、後ろに下がり、去って行った。

 その後で、ユィンの手の先の刃物のようなものは、地面に落ち、水になり、その場に消える。


「死に掛けの俺の所に現れたという事は、あんた、例の魔導士か」


 視線をゼノの方に向けず、ユィンは問う。

 ゼノはユィンの手を離し、「その傷で、よく失血死しないね」と話し掛けた。


「さすが花錬族。死にたくても死ねないんだね。可哀想に」


 睨むようにゼノを見たユィンが「放っとけば死ぬ。帰れ」と返す。


「俺に聴こえるのは、死に掛けていて、助けを求める声。自分じゃ死ねないから、俺に殺して欲しいんでしょ?」

「……時間を掛ければ死ぬ。あんたの助けなんか必要無い」

「なんで泣いたの? あんたは悪くないじゃん」

「生まれて来たくなかった。誰かの愛した人を手に掛けた俺でさえ平然と生きて行けるような、修羅のような、この世界に」

「……必要に駆られたり、命じられたりしない限り、誰も殺さずに済む世界が有るって言ったら、興味持つ?」


 ユィンは、一層、睨むようにゼノを見たまま「なぜ、そんな嘘をつく?」と尋ねた。

 そんなユィンに「本当だから」とゼノは笑い掛ける。

 黙った後、ユィンが口を開いた。


「詳しく話せ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。