意味不明な会話
宿屋の一階で、女将が椅子に座らせられ、目を閉じて寝ている。
女将の側に居る男が、女将に毛布を掛けようとしている。
階段から下りて来たゼノが「あら。良い人」と男を見る。
男は「兄貴達は……」とゼノに聞く。
「みんな殺しちゃったよ」
ゼノの返答に、男は「そうか……」と返した。
嘉一は、男の顔を見て、固まっている。
嘉一が最後に倒した賞金首に、男の容姿が、そっくりだったからだ。
「俺も兄貴のように殺すか?」
「っていうか、え? え? どっちが賞金首?」
戸惑ったような嘉一に、男は「……俺だ」と答える。
嘉一は「マジで!?」と、心底驚く。
男は「あんた達には悪いが、俺は、これから手配所に行く」と話した。
ゼノが「両親に話してから?」と尋ねる。
男は「信じて貰えるかは分からないが……」と返し、ゼノが「どれくらい時間が掛かるんだろうね?」と問い返した。
「分からない……長ければ半年……」
「兄さん、良い人のフリ上手だったみたいだもんね」
「すまない……」
「大丈夫。俺は何も困らないから」
「兄貴の首は、まだ、手配所に持って行かない方がいい」
「前科が有るのは、あんただけだもんね。でも、ニュースにはなるよ」
「すまない……」
「いや、俺は何も困らないから」
ゼノと男の会話を聞いていた嘉一が「さっきから、何の話?」と聞く。
男は「ありがとう……」と嘉一を見た。
嘉一は「なんで、ありがとう?」と首を傾げる。
宿の外が騒がしくなってきた事で、宿の近くに人が集まって来たと分かる。
「あんたは悪い人じゃないみたいだから、逃げなよ」
ゼノに促され、男は「悪い……」とドアを開け、外に出て行く。
「死体、片付けるか」
伸びをしたゼノに、嘉一が「部屋、綺麗に出来る?」と確認する。
「女将さんには恩が有るからな。新品同然にしてやるよ」
ゼノが、二階に向かい、嘉一は、ゼノの後ろを歩いた。




