動揺
嘉一が、炎で模った剣を手にしている。
一番筋肉質の男の懐に飛び込み、嘉一は相手の首をはねる。
嘉一は「ごめんなさい……」と、悲しそうな表情になる。
視線を動かした嘉一が、部屋から入ってすぐの場所で、一番背の低い男と背の高い男、一番髪の短い男と茶髪の男が、それぞれ、お互いと戦っている事に気づく。
その様子に、嘉一は「なんで!?」と驚いた。
背の高い男が「どうしたんだよ、お前……!」と困惑している。
嘉一が「仲間割れ!?」と、状況を呑み込めていないように言った後、一番、背の低い男と一番髪の短い男が、虚ろな目をしているのに気づく。
「その人達、体調悪いんじゃない!?」
嘉一に言われて、茶髪の男が「体調悪くて、仲間を襲うか!?」と言い返す。
「そ、それもそうだね……」
ゼノが現れて、「女将さんには眠って貰ったから、死んで貰おうか」と口にした。
嘉一が、ゼノの腕を掴み「ま、待って! この人達、目が虚ろだし、多分具合悪いんだよ!」と止める。
「仲間割れするように操っただけだよ。首はねたのは、嘉一か? やったじゃん」
動じないゼノに、嘉一は「うん……」と答えた。
ゼノは「宿の前に、まだ人が居るんだよなぁ。おたくらの仲間?」と、男達に聞く。
背の高い男が「あいつは乗り気しないって言って……」と答えたが、ゼノは「ふーん? どうでもいいけど」と杖を振る。
一番、髪の短い男と茶髪の男が倒れた。
「後一人で、晴れて無罪放免だね」
ゼノに言われて、嘉一が「ゼノに操られてない方の人だよね……? 確かに、こんな顔してたと思うんだけど……」と自信無さげにゼノを見た。
その視線を無視し、ゼノが「世の中には似た顔が三人居るって言うからねぇ」と返す。
嘉一は「え?」と、混乱したように言う。
「とりあえず、そいつが悪人だよ」
ゼノの言葉に、嘉一は男達を見る。
背の低い男と背の高い男の剣がぶつかり合ったまま、二人は身動きが取れずに居る。
嘉一は背の高い男に駆け寄って、炎の剣を使い、男を気絶させた。
ゼノが杖を振り、一番背の低い男が、その場に崩れ落ちて、意識を失う。
「お前にしちゃ上出来。じゃあ、宿の入り口に居る、もう一人を見に行こうか」
ゼノは部屋を出て、階段を下りて行き、少し振り返り、嘉一に「来いよ」と言う。
嘉一は、急いでゼノに着いて行った。




