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最恐魔導士は、おれがお嫌い  作者: 水桜崎 有叉杜
第五章

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宿の女将と話す二人

 宿の昔の食堂だったスペースで、嘉一とゼノが食事をとっている。

 机の上には、二人の前に置かれた皿にパスタが盛られていた。

 嘉一が、一口食べて「美味しい」と言う。

 ゼノが「そりゃ良かった」と、気の無い返事を返す。

 空いた席に座っていた宿の女将が「お客さんが多かった頃は料理人も雇って、食事を出してたんだけどね。この辺は物騒になって、客足も遠のいちゃって。お部屋しか用意出来なくて、ごめんなさいね」と、二人に言った。

 ゼノは「充分ですよ。助かりました」と、女将に軽く頭を下げる。

 嘉一が「食堂の机も貸して頂いて、ありがとうございます」と、礼を口にした。

 女将は「ゆっくりしていってほしいけどね。明日、発つんでしょう?」と二人に聞いた。


「ゆっくりしていきましょうか? 何か目的が有る訳でも無いし」


 ゼノの言葉に、女将は「そうしてくれるかしら?」と、微笑んだ。


「それにしても、ゼノさんが意識の無いユィンさんを連れて来た時は驚いたわ。直に目を覚ますってゼノさんは言ってたけど、心配でねぇ」


 嘉一は「え? ゼノが連れて来てくれたの?」と驚く。


「何件か、他の宿に断られたって……。ユィンさんは賞金首の花錬族ですものね。厄介事に関わりたくない人が多いのよ」


 ゼノが女将が話し終わるのを待ってから「お前の意識が無いの見て「うちで良ければ」って泊めてくれたんだよ。目くらましの魔法、掛けたい所だったんだけど、意識が有る奴にしか使えなくてな」と嘉一に話した。

 女将が「ゼノさんは魔法、使えるの?」と尋ねる。


「……あんまり」

「電灯、直せたりしないかしら? 壊れたままなんだけど、職人さんも居なくて……」

「壊れたもの直すくらいは出来ますよ。電灯だけですか?」

「奥の部屋の鍵も壊れたままなのよねぇ」

「食べたら直しますね」

「じゃあ、食事の後片付け、しとくわね」


 ゼノが「いえ、それくらいは……」と言い掛け、嘉一が「あ。俺がやります」と、二人の会話に加わった。


「いえいえ。私がしたいの。それくらい、させてくれないかしら?」


 そう聞かれて、ゼノが「じゃあ、頼みます」と軽く頭を下げる。

 女将は「本当に久しぶりのお客さんでね。嬉しいわ」と笑う。

「……しばらく、お世話になります」と、改めて、ゼノが深く頭を下げた。

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