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最恐魔導士は、おれがお嫌い  作者: 水桜崎 有叉杜
第四章

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氷は溶ける

 地面から、氷で出来た無数の大きな棘が出て来て、道を塞いだ。

 嘉一は、棘を挟んだ行き止まりに、一人で居た。

 棘の向こう側、ならず者達が足を止めている。

 嘉一が辺りをきょろきょろ見るが、逃げ場は無い。

 右側に居る、ならず者が「変な術、使いやがって!」と、怒ったように言う。


「だって殺したくないんだもん!」


 真ん中に立っている、ならず者が「じゃあ、何で俺達の集落に来たんだよ!?」とキレた。

 怯えた嘉一が「な、成り行きで……」と口にすると、右側に居る、ならず者は「そんな訳が有るか! この棘、何なんだよ!」と叫ぶ。

 嘉一は「氷……」と短く答え、左側に居た、ならず者は「へぇ、そうかい」と言った後、

懐からランプを取り出し、ランプを地面に落とし、ガラス部分を割った後、ランプの芯に火を点け、大きくなった火を氷に近づける。

 そうした、ならず者は「氷が溶けるのも時間の問題だな」と、火を見る。


「授華呪の氷って溶けるのかな……」


 嘉一の呟きに、右側に居る、ならず者が「しばらくすれば分かるだろうよ」と笑う。

 氷が解け始め、嘉一が「ああ……溶けてる……」と、情けない声を出した。

 嘉一は、行き止まりに後ずさりし、壁に背をつける。

 ランプから、いきなり火が消えた。

 ならず者と嘉一は、薄暗くなった周囲を見る。

 ゼノが「何やってんだよ。お前は」と敵側に現れ、氷に向かって杖を向ける。

 氷が音を立てて、その場に崩れ落ちた。

 嘉一は「せっかく作ったのに……!」と、地面に落ちた氷を見る。

 ゼノが「殺せって言ってんだろうがよ」と、嘉一に視線を向けた。

 右側に立っている、ならず者が「魔導士? なんだよ、てめぇは」と、ゼノを睨んだ。

「なんだろうねぇ」と口にしたゼノが姿を消し、ならず者達の更に後ろに現れる。

 真ん中に居る、ならず者は「何……」と、ゼノを振り返った。

 ゼノは「俺に殺されたくなければ、嘉一に殺されるんだね」と、ならず者達を見た。

 嘉一が、縦長く燃え上がる炎の柱をいくつも呼び出し、道を塞ぐ。


「これで、こっちには来れないよね!?」


 確認した嘉一に、ゼノは「往生際が悪いねぇ」と苦笑する。

 ゼノが杖を振り、炎の上から、滝のような勢いの水を落とし、炎が消えた。

 ゼノは「さぁ、逃げ道は無いよ?」と、嘉一から、ならず者達に視線を移す。

 ならず者達が、嘉一の方に近づいて来た。

 嘉一は風を発生させ、ならず者達の衣服を少し切り刻んだ。

 ならず者達は、怯んだように、その場に立ち止まる。

 嘉一が目を閉じ、意識を失い、その場に倒れた。

「本当、ぬるいねぇ」と、ゼノが、倒れた嘉一を視界に入れた。

 ゼノは氷の壁を呼び出し、嘉一の方への道を塞いだ。


「おたくら、どうする? 逃げる?」


 ゼノの言葉に、ならず者達は武器を構え、ゼノに襲い掛かった。

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