純粋な嘉一を気持ち悪がるゼノ
洞窟の外に出ると、首が入った袋を合計三つ、左手に提げているゼノが、嘉一を振り返った。
「魔物の巣窟は、もっと上だったみたいだけど、もういいのか?」
「首、持ったまま行けないだろ」
「それもそうだな。移動の魔法、使おうか。少し、手配所までは遠いんだ」
「その場所、知ってるの?」
「ああ。ユィンと何度か行った事が有る。俺は賞金首狩りをすすめたけど、ユィンは途中で止めちゃったね」
「どうして?」
「金が欲しい訳じゃないって。あとは「自分は許されてはいけないから」って」
嘉一は「許されてはいけない? 賞金首を倒す事と、何の関係が有るの?」と、ゼノに尋ねる。
「そうだな……。後で、気が向いたら説明するよ。手配所の人が説明するかもしれないし」
「気になるんだけど……」
「近くに居ろよ。あんまり遠くに居られると、移動の魔法で連れて行けないかもしれない。取り残されても知らないぞ」
それを聞いて、嘉一が、ゼノの右肩を右手で持つ。
ゼノは「……接触しろとは言ってない」と、困惑した表情になる。
嘉一が「だって、残されたら怖いもん」と、発する。
「まぁ、その方が魔力使わずに済むから別にいいけど……」
「取り残されないよね?」
「肩持たれたら、さすがに大丈夫じゃないか?」
「残されたら戻って来てくれる?」
「そのまま放置する」
「え。酷い。首に抱き着くのと腰に抱き着くの、どっちが安全?」
「……気持ち悪ぃなぁ。もう……。離れんなよ。抱き着かれる前に移動する」
「え……。待って。怖い」
嘉一が、ゼノの正面から、ゼノの肩を、左右それぞれの手で掴むようにして、ぎゅっと目を閉じた。
ゼノは「……腕回されるよりマシか……」と、ため息をつく。
ゼノが杖を降り、嘉一とゼノが、その場から消えた。




