戦闘
追いついた盗賊が「ここに居やがったか!」と声を上げた。
怯えた嘉一は「ひぃっ。すみませんでした!」と口にする。
盗賊の頭らしい男は、嘉一の手にまとわりつく雷を見て、「てめぇも変な術、使うのか。まとめて殺してやる」と、仲間の方を見た。
「お前ら!」と言われた盗賊の仲間は逃げ出し、声を掛けられて残った盗賊は、頭以外に一人だけになる。
その一人は「兄貴分、殺されて黙ってられっかよ」と、ゼノを睨みながら、剣を構えた。
ゼノが「じゃあ、ちょっと遊ぼうか」と杖を持つ。
ゼノは、その直後、剣を持っていた盗賊に雷を落とした。
剣を取り落とした盗賊は、痺れたようになった腕を前方に伸ばし「てめぇ……」と口にする。
ゼノが「敵う訳ないのに、ご苦労な事だね」と、馬鹿なものを見る目で盗賊を見る。
雷を落とされた盗賊は、今度はナイフを構えた。
ゼノが、盗賊の構えたナイフに雷を落とし、そこから雷の影響を受けた盗賊が倒れる。
盗賊の頭を見て「大丈夫だよ。あんたには俺、何もしないから」と、ゼノが口にする。
「この野郎……」
悔しそうにも見える表情で、盗賊の頭がゼノを睨む。
「嘉一、遊んであげてよ」
嘉一は、ゼノに言われて、雷をまとう腕を盗賊の頭に振り下ろす。
盗賊の頭は、それを避けた。
「あの魔導士は後回しだ。まずは、てめぇからだ」
嘉一、頭の言葉を耳にして、腕にまとわせていた雷を消す。
「殺したくない……。逃げて……!」
地面に視線を落とした嘉一に、盗賊の頭は「何を言い出すかと思えば……」と、苦笑する。
「嘉一が本気でやれば、お前なんか死ぬよ?」
腕組みをしているゼノを、ちらりと見た後、嘉一は「ゼノに殺されない内に逃げて……!」と頭に言う。
「二人も殺されて、逃げられるかよ……」
頭の言葉に、ゼノが「それ以上の数の人間、殺して来たんでしょ? 嘉一、こいつら悪い奴だよ?」と、嘉一にも盗賊にも、呆れたような表情になる。
「それでも殺したくない……」
「ぬるいねぇ」
ゼノが杖を振り、盗賊が気絶した。
地面に倒れている盗賊達に杖を向けたゼノは「こいつらの首、落として帰ろうか。野放しにしとくと、どうせ人殺すような奴らだよ」と、嘉一に視線を向ける。
「……おれが首、落とす……」
「分かった? 悪い奴は死んでも仕方ないって」
「……うん。首から下、土に埋めてあげたいんだけど、いい?」
「分かってねぇじゃん。弔って、どうすんの」
また、呆れたように嘉一を見たゼノに、「分かんないよ。……駄目かな?」と、嘉一は尋ねる。
「ああ。弔うのは、こいつらの仲間がやるだろ」
「そうだね……。余計な事しない方がいいかな……」
「首以外は放っといて帰るぞ」
その言葉に頷きながら、嘉一は、倒れている盗賊達を見ていた。




