一息ついて
嘉一とゼノは、神殿近くの村で宿を取った。
ゼノがシャワーを浴びて、タオルで髪を拭きながら、部屋に戻って来る。
ベッドに横になっていた嘉一は、体勢を変え、仰向けになり、天井に視線を向ける。
「古代神殿は楽しかったな。他に、ああいう場所、無いの?」
「何? 独り言?」
嘉一はゼノの返答に、困った顔になった。
「ゼノに聞いてるんだよ」
「魔物の巣窟は、あちこち有るけどね」
「楽しい?」
「行ってみたいなら行く? 俺は手伝わないけど」
嘉一が天井から、ゼノに視線を移す。
「明日は宝物を、お金にするんじゃないの?」
「換金は明日じゃなくてもいいからな。お前を追い詰める魔物が居るなら、どこでもいいよ」
その言葉が本音だと思い知って、嘉一はゼノから少し視線を外した。、
「ゼノは、どうやったら、俺を好きになってくれるの」
「好きになられる要素が、お前に有るとでも?」
「おれが、この世界で頼れるのはゼノだけだから……」
不安そうな表情の嘉一に、ゼノは「俺は味方じゃないって言わなかった?」と、冷たい目をする。
「どう頑張っても駄目?」
「お前が死に掛けるほど苦労すれば、少しは好きになってやるよ」
「じゃあ、わざと死に掛けようかな。そうすれば好きになってくれる?」
「……気持ち悪い。なんで、そんなに、こだわるの」
心底、不快そうにゼノに言われて、嘉一は「寂しいんだよ。ゼノしか居ないから……」と返した。
「そんな事言うなんて、本当、大事に育てられたんだな。余計に嫌いになった」
ゼノの不愉快そうな表情に、嘉一は「……体調、大丈夫?」と、心配していた事を尋ねる。
「今は大丈夫」
「なら、良かった……」
嘉一は、それだけ口にして、目を閉じると、寝息を立て始める。
じっと嘉一を見た後、「危険の無い場所で育ったんだろうな。寝るか? 普通」と、ゼノが呟く。
嘉一を見ているゼノが、疑問を口にする。
「お前が死に掛けている所を見たら、俺は、どうするのかな。多分、ざまぁみろと思うだろうけど」




