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最恐魔導士は、おれがお嫌い  作者: 水桜崎 有叉杜
第三章

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狼男

 神殿の内部は、灯りが少なく、暗かった。

 立ち止まり、「おかしいな……」と漏らしたゼノが前方を見て「これは……」と呟く。


「どうする? 引き返す?」


 ゼノが嘉一に聞いたので、嘉一は「え? なんで?」と返した。

 嘉一が、ゼノの後ろで歩みを止める。


「攻略した奴は全員、新月の夜に帰って来てる。何一つ手にせずに。戦利品すら無いなんて変だと思わないか?」

「ゲームのダンジョンって宝物くらい有るよね……」

「何も無いんだと思ってた。そうではなく、奥まで誰も辿り着けていないのかもしれない」

「どうして、そう思うの」


 今いる空間の奥を見ながら、ゼノは返事をした。


「その奥の部屋から気配がする。予想通りなら満月の夜の今日は分が悪い。狼男だ」

「え? マジで? 見てみたい」


 嘉一が、扉の無い奥の部屋に近づく。

 その直後、嘉一は、すごい勢いで戻って来た。

 ゼノが嘉一に「この馬鹿……」と、呆れた視線を向ける。

 奥の部屋から狼男が出て来て、ゼノと嘉一を見た。

 狼男は「帰れ」とだけ、二人に言う。


「狼男って満月の時、強いんだっけ!?」


 ゼノを振り返って嘉一が尋ねたので、「おそらく、新月の晩でも、誰もこいつに敵わなかったんだ。あー、はいはい。帰りますよ」とゼノは踵を返す。

「帰るの!? 俺の願い事は!?」

「一人で敵うなら止めないけど?」

「……やってみる」


 嘉一が、授華呪で作った炎を右手に宿し、狼男に向かって行く。

 狼男は「馬鹿だな。返り討ちにしてくれる」と、嘉一に応戦した。

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