↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最恐魔導士は、おれがお嫌い  作者: 水桜崎 有叉杜
第三章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
16/62

もう会えない

 夜になって、二人は、闘技場で野営をしていた。

 ゼノと嘉一は、テントの近くで、焚火をしている。


「本当に傍観してたね……」


 床に座ったまま、その近くに座るゼノを嘉一が見る。


「お前の特訓だからね。お前が死んでも構わないけど、ルサナに、ひどい人と思われたくないからね」


 焚火に視線を移し、嘉一は聞いた。


「ゼノが言ってた女の子って、ルサナの事? ルサナのお姉さんの事? 両方?」

「ルサナの事だよ。ルサナじゃ不満か」

「どういう意味?」

「彼女欲しいなら、ガキのお前には似合いと思ったけどねぇ?」

「ルサナは、いい子だけど、まだ小さいし、彼女欲しい訳じゃないよ。……というか、疑問なんだけどさ。ゼノは、ルサナと、どう知り合ったの?」

「親父を殺した男の奥さんが、ルサナの母さんと知り合いだったんだよね。一歳だったルサナの子守、ルサナの母さんに押し付けられてさ。気が付いたら五年経ってた。ルサナの母さんは友達の旦那が俺に殺された事、知ってるけど、俺に同情してる。いつ死んでもいいと思ってる俺みたいなガキ、放っとけなかったんじゃない?」


 ゼノも焚火を見ていたが、不意に空を見上げるように、頭を上に向けた。

 嘉一も上を見る。

 夜空には、星が広がっていた。


「ゼノは今も死にたいの?」


 空を見たまま、ゼノが答える。


「親父が闘技場に放り込まれた時に、俺の人生は終わったんだよ。明日は古代神殿に行くから、もう寝た方がいい」


 空から、闘技場に、ゼノが視線を戻す。

 嘉一が、テントに行き掛けて、「ゼノは寝ないの?」と尋ねた。


「寝れないんだよね。ここじゃ。怒りが湧いて来てさ。お前の訓練の為じゃなきゃ来てない」

「……そうなの?」

「一日二日寝ないくらい大丈夫だ。負担の掛かる魔法を使わなければ。今日は大した魔法使ってない」

「……どうしてルサナは、ゼノが移動の魔法しか使えないと思ってるの?」

「他の奴も全員そう思ってるよ。俺の魔法を目の当たりにした奴以外は。出来損ないと思われていた方が生きやすい」


 その場に立ち止まったまま、「なんで?」と嘉一は聞いていた。


「ラジアンじゃ、力が有ると妬まれる。出来るだけ、もう、誰も殺したくない。襲ってくる奴と、悪い奴は別だけど」


 嘉一は、ゼノの傍まで歩いた。


「移動しない? ゼノが寝れないんじゃ意味ない」

「お前が寝れないなら移動しようか?」

「うん」


 嘉一を見ずに、ゼノが、ため息をつく。


「お前が休めないと明日、俺の負担が増えるからな」


 ゼノがテントに杖を向けると、テントと焚火が消えた。

 嘉一が、「すごい」と、思わず驚く。


「俺の魔法を見る度、ユィンは「苦労したんだな」って言ってた。あいつは何も言わなくても分かってくれた」


 嘉一の方を、ゼノが、遠い目で見ている。

 それは、もう、帰って来る事の無い何かを見る目だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。