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最恐魔導士は、おれがお嫌い  作者: 水桜崎 有叉杜
第二章

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嘉一、ピンチに陥る

 店を出て、嘉一とゼノが街道を歩いている。


「残すと、もったいないからって、無理に食べなくて良かったのに」


 口元に手を当てた嘉一に、ゼノが話し掛ける。


「一人前食べただけなのに死にそうな程、苦しいんだけど」

「精神的な事からユィンは小食でさ。今は苦しいだろうけど、その内、普通に食べられるようになるだろうから耐えるんだね」


 相変わらず、ゼノは嘉一から目を逸らしている。

 嘉一は、思った事を、そのまま口に出した。


「ゼノって、俺に冷たいよね」

「嫌われてる自覚、有ったんだ? それくらい分かる頭は有ったか」


 ゼノが杖を振り、嘉一の周りを一瞬、光が取り囲んだ。


「お前がどうなろうと構わないから、目くらましの魔法解くね。俺ちょっと用事有るから、自分の命は自分で守れよ」

「用事?」

「ユィンと、お前を入れ替える魔法、使ったせいで、フラフラなの。今、夕方だろ? 家で寝て来るけど、多分朝まで目が覚めないから、よろしく」

「え。なら、連れてってよ」


 嘉一に服を掴まれて、ゼノが、それを振り解く。


「移動の魔法、他人に掛けるのは疲れるから嫌だ」


 何も言えなくなった嘉一は、それでも、不安から口を開く。


「こんな人通り多い所で一人にされたら……」

「知らねぇよ。異世界に来たかったんでしょ? 楽しんだら?」


 ゼノが、杖を振り、消えた。

 嘉一は、視線を感じて、そちらを見る。

 視線を動かした先で、三人の男を見つけた嘉一は、真ん中に立つ一人の男と目が合って、その視線に宿る憎しみの色に、たじろいだ。

 男は、三人の中で、一番、身体が大きい。

 逃げ出そうとした嘉一を、先ほどまで目が合っていた男が捕まえ、後の二人は、その様子を見ていた。




◇◇◇




 路地裏に連れ込まれた嘉一は、男達全員が二十代前半だろうと思いながら、なぜ、こんな事になったのかが分からなかった。

 嘉一は、薄茶色の髪の男から羽交い締めにされ、一番、体の大きな男から殴られた。


「こんな所で会えるなんてな。親父の仇だ。一年前、お前のせいで、俺達は出稼ぎに出されたんだよ」


 自分を殴った男の発言に、嘉一が「どういう事……?」と、殴って来た男に視線を向けた。

 こげ茶色の髪の男が「忘れたのかよ」と声を上げる。


「俺達は海杜族の生き残りだっつったら、分かるだろ」


 何も言えなくなった嘉一に、薄茶色の髪の男が「村に女が稼げる仕事は無いから、出稼ぎに出されたのは仕方ないけどな。でも、村の連中が遊んで暮らせるほどの懸賞金が、お前に掛けられてて良かったよ」と笑う。


「早く首、持ってこうぜ」


 こげ茶色の髪の男に言われて、一番、体の大きな男が刃物を取り出す。

 そのまま首に手を掛けられた時、嘉一が、男の腹を蹴り飛ばした。

 男は吹っ飛び、後の二人は、吹っ飛んだ男の方へ駆け寄った。


「兄貴。大丈夫か」


 薄茶色の髪の男に心配され、吹っ飛んだ男が「戦闘能力が高いとは聞いてたけど、これは……」と、身を起こした。

「立てるか」と、尋ねたこげ茶色の髪の男に、一番、身体の大きな男は「ああ」と返す。

 嘉一が、男達の様子を見ながら、その場から逃げ出した。

 薄茶色の髪の男と、こげ茶色の髪の男は、身体の大きな男の様子を見た後、嘉一を追い掛ける。

 必死で逃げながら、そのまま、嘉一は、空き家になっている建物の影に隠れる。

 嘉一は、追い掛けて来た二人が、嘉一が隠れている事に気づかず通り過ぎて行った事にホッとしながら、身を潜めた。

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