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【勘違いコメディ】そのワン公、魔力ゼロにつき。  作者: 小春日和
第2章 ワン公、魔法を知る

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ご褒美ですか?!

数日後。


レン達はペナルティを受けていた。


場所は大学敷地内。


新しくオープン予定の雑貨店――


『ブルーム』


魔法使い向けの雑貨。


魔導書。魔導具。


様々な商品を扱う予定の店らしい。


現在は開店準備中。


そのため。


レン達は全員エプロンと三角巾姿で店内清掃をさせられていた。


「コホッ……」


レンが咳き込む。


棚を拭く手を止めた。


「なんで新店舗なのに棚だけこんな古いんだよ……」


目の前の棚。


やたら年季が入っている。


埃だらけ。


拭いても拭いても埃が出てくる。


その後ろ。


モズは箒や雑巾に魔法を掛けていた。


掃除用具達がせっせと働いている。


だが。


モズは腕を組み。


じーーーーーーっと見ていた。


監督。


完全に現場監督だった。


レン。


「さすがに見過ぎだろ」


モズ。


「二度あることは三度あるって言うしな……」


目を離さず答える。


レン。


(そのことわざこっちの世界にもあるんかよ……)


心の中でツッコむ。


以前。


夜の大学敷地内無断侵入でのペナルティ。


レンが破壊した部屋のドア修理。


モズの魔法がかかった道具同士、喧嘩をせずに終えた試しがない。


だから警戒しているのだろう。


…しかし。


今日の掃除用具達は違った。


やけに真面目。


丁寧。


黙々と働いている。


むしろ怖い。


レン。


「……改心したんか?」


モズ。


「いや」


目を細める。


「違うな」


掃除用具達。


チラッ。


またチラッ。


何かを見ている。


その視線の先。


ノンとネフィラだった。


二人並んで棚を掃除している。


レン。


「……あー」


理解した。


掃除用具達。


完全に女子を意識している。


改心などしていなかった。


レン。


「人間味強すぎん????」


思わず叫ぶ。


モズ。


「はぁ……」


深いため息。


呆れていた。


だが。


気持ちは少し分からなくもない。


何故なら。


二人は非常に絵になった。


ノン。


淡い桃色の髪。


柔らかな黄緑色の瞳。


ふわふわとした雰囲気。


棚を拭く姿ですらどこか楽しそうだ。


一方。


ネフィラ。


透き通るような白い肌。


淡い水色のボブ。


整い過ぎている顔立ち。


本を抱えながら作業している姿はまるで絵画だった。


二人とも大学内でも目立つ美形である。


その時だった。


ノンが髪をまとめ始めた。


ふわり。


柔らかな桃色の髪が揺れる。


後ろで結われる。


ポニーテール。


完成。


掃除用具達。


完全停止。


見惚れている。


レン。


「おい」


モズが腕を組み、掃除用具達に向かって言った。


「アイツら」


「…見た目だけだぞ?」


次の瞬間。


ガンッ!!!


「ぐはっ!?」


どこからともなく

チリトリと分厚い本が飛んできた。


モズの顔面に直撃。


クリティカルヒット。


倒れ込む。


レン。


「えっ!?!?」


掃除用具達。


「!?!?」


何故か掃除用具達まで慌てる。


そして。


全員同時に女子組を見る。


ノン。


「ごめぇん!」


「手が滑ったぁ〜!」


ネフィラ。


「ごめんあそばせ」


微笑んでいる。


だが。


目は笑っていなかった。


(確信犯だ)


全員そう思った。


その頃。


ウサ丸はというと。


いつの間にか店内へ侵入していた。


掃除を終えた机の上。


仰向け。


お腹全開。


足ぴーん。


非常にリラックスしている。


レン。


「お前は自由だな……」



その時だった。


カラン。


入口のベルが鳴る。


全員が振り返る。


そこに立っていたのは。


一人の男性だった。


高身長。


焦げ茶色のベスト姿の上から、

店名が記されたベージュのエプロンをつけた細身の男性。


さらりとした金髪。


後ろ髪は背中の中央辺りまであり。


一本に結ばれている。


頭には虎の耳。


腰からは長い尻尾。


細められた目。


柔らかな笑顔。


穏やかな雰囲気。


まさに爽やかな好青年。


男性は店内を見渡した。


そして。


「おや」


微笑む。


「店内清掃のお手伝いありがとうございます」


スマイル。


眩しい。


紳士だった。


ノン。


「わぁ〜」


「良い人そう〜」


ネフィラ。


「ま、眩しいですわ……」


思わず顔を隠す。


笑顔が強すぎる。


そんな二人を横目にモズが声を上げた。


「ミヤ先輩!」


レン。


「えっ?」


女子二人。


「えっ?」


モズ。


「お久しぶりっす!」


レン。


「知り合い!?」


モズ。


「去年卒業した先輩」


「実家が有名な魔導具店なんだよ」


なるほど。


納得した。


ミヤは微笑む。


片手を胸へ当て。


軽く会釈した。


「今年から大学生向けに店を構えることになりまして」


「こちらの敷地をお借りしております」


「よろしくお願い致します」


つられて。


レン達も頭を下げる。


「よろしくお願いします」


ミヤは続けた。


「店を構えるにあたり」


「大学で使われなくなった棚などをお借りしたのですが」


古びた棚を見渡す。


「どれも長く倉庫に眠っていた物ばかりでして」


「開店までに時間も短く途方に暮れておりましたところ」


少し笑う。


「リゼリア教授が助っ人を送ると仰ってくださったのです」


視線がレン達へ向く。


「今こうして手伝って頂けて本当に助かっております」


にこっ。


爽やかーーーーー。


どこまでも爽やかーーー。


ノン。


「ひゃぁーーー」


ネフィラ。


「完璧ですわ……」


女子ウケが凄かった。


ノンなんて。


「今回のペナルティ」


「いいかもぉ〜」


とか言い始めている。


その横。


ネフィラは。


ミヤ。


レンモズ。


ミヤ。


レンモズ。


交互に見た。


そして。


無言。


深くため息。


レン。


「今絶対比較したよな!?」


モズ。


「したな!?」


ネフィラ。


「気のせいですわ」


即答だった。


嘘だった。


絶対比較していた。


ミヤは苦笑する。


「では」


「商品の陳列をお願いできますか?」


女子勢。


「「はい!」」


即答。


声が明るい。


さっき。


チリトリと分厚い本を投げた人物達と同一人物とは思えない。


レン。


「女子怖ぇ……」


モズ。


「ほんとにな……」


二人は静かに呟くのだった。

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