白羽家の血
LINEスタンプ販売中!
「そのワン公、魔力ゼロにつき。」
で是非検索してみてください☆
40個入り120円です。
「私のおじいちゃん、人間だから」
ノンのその一言に。
レンとモズは、完全に固まった。
「…………」
「…………」
しばらく沈黙。
先に口を開いたのは、モズだった。
「……え?」
「うん〜」
ノンはいつもの調子で、こてんと首を傾げる。
「おじいちゃん、人間だったんだぁ」
レンは思わず身を乗り出した。
「いや、ちょっと待て」
「それって……」
「ノンも、人間の血が混じってるってことか?」
「そうだねぇ」
あまりにも軽い。
レンとモズは顔を見合わせる。
「……お前、それ結構すごい話じゃねぇの?」
モズが言うと、ノンは少し考えてから笑った。
「ん〜、白羽家の中では有名な話だよぉ?」
内緒だけどねぇ、
と右手の人差し指を口の前で立ててイタズラっぽく笑う。
白羽家。
魔法界でも名の知れた名家。
天使の血を引くという伝説を持ち、代々圧倒的な魔力を誇る家系。
その一族の中でも、ノンは特に強く魔力の才能が発現しているらしい。
「普通はねぇ」
ノンは自分の手のひらを見つめながら言う。
「魔力を他の人に流すのって、すごく難しいんだって」
「そりゃそうだろうな……」
レンは入学式の日を思い出す。
ほんの少し流された魔力が、自分の中で膨れ上がり、大講堂を大騒ぎにした。
「でも私は、なんとなくできちゃったんだぁ」
「なんとなくで済ませるなよ……」
レンが呟く。
ノンはふわっと笑った。
魔力のない自分。
ノンの魔力。
あの日、偶然重なったものが、今になって少しずつ意味を持ち始めている。
その時。
モズが急に身を乗り出した。
「なぁ」
「ん?」
「俺もできんのかな」
レンが目を瞬かせる。
「何が?」
「ワン公に魔力貸すやつ」
「え」
モズは腕を組んで、真剣な顔をする。
「だってさ、一緒にいる時間で言ったら俺が一番多いだろ?」
「同室だし」
「授業もだいたい一緒だし」
「俺が魔力貸せたら効率良くね?」
レンは少し戸惑う。
「いや、でも危ないんじゃ……」
「ちょっとだけ!」
モズはニヒッと笑う。
「ノンがいるし、何かあったら止めてもらえばいいだろ」
「軽いなぁ」
ノンは少しだけ真面目な顔で二人を見る。
「ん〜……本当はあんまりおすすめしないけど」
「ほんの少しなら、見てるよぉ」
モズはレンの前に座る。
「んじゃ、いくぞ」
「待て待て、心の準備が」
「大丈夫大丈夫」
「その大丈夫が一番怖いんだよ」
モズがレンの手首に触れる。
いつもなら騒がしい部屋が、少しだけ静かになった。
「……流すぞ」
「ああ」
モズの手に、橙色の魔力が淡く宿る。
レンは息を止めた。
ノンもじっと見ている。
数秒。
何も起きない。
「…………」
「…………」
さらに数秒。
何も起きない。
レンの瞳は黒いまま。
魔力が流れ込む感覚もない。
「……あれ?」
モズが眉をひそめる。
もう一度試す。
けれど。
何も起きない。
「……なんでだよ」
モズの声が、少し悔しそうに揺れた。
ノンは静かに首を傾げる。
「弾かれてるのかもねぇ」
「弾かれてる?」
レンが聞き返す。
「うん。レンくんの身体が、モズくんの魔力を受け取ってない感じ」
「俺、拒否してるつもりないけど……」
「体がそうしてるのかも」
モズは自分の手を見つめる。
いつもの軽い顔じゃない。
本気で悔しそうだった。
「……そっか」
短く呟く。
そして、すぐ顔を上げた。
「じゃあ、できるようにする」
レンが驚く。
「え?」
「俺もいつか、ワン公に魔力貸せるようになる」
モズはニヒッと笑う。
でも、その目は真剣だった。
「お前ばっか頑張らせるの、なんかムカつくしな」
レンは一瞬言葉に詰まった。
それから、少しだけ笑う。
「……なんだそれ」
「俺なりの友情」
「雑だな」
「分かりやすいだろ?」
その横で、ノンがふわっと笑った。
「ねぇ」
二人がノンを見る。
「ネフィラちゃんに相談してみない?」
「ネフィラに?」
レンが首を傾げる。
ノンは頷く。
「ネフィラちゃん、本がすごく好きなんだぁ」
「恋愛小説だけじゃなくてぇ、魔法理論とか古い文献とか、いろんな本読んでるよぉ」
モズが腕を組む。
「あー、確かに知識ありそうだな」
「でも……」
レンは少しだけ表情を曇らせる。
ネフィラ。
最近仲良くなり始めたばかりの、水色の髪のお嬢様。
悪い子じゃない。
それは分かる。
でも。
「人間ってことまでは、まだ言えない」
部屋が少し静かになる。
レンは言葉を選ぶように続けた。
「疑ってるわけじゃない」
「でも、まだ知り合って日が浅いし」
「ちゃんと……」
少し間を置く。
「心から信じられるって思えてから話したい」
モズは静かに頷いた。
「それでいいんじゃね?」
ノンも優しく目を細める。
「うん」
「ネフィラちゃん、きっと分かってくれると思うけど」
「レンくんが決めていいよぉ」
レンは二人を見た。
今までなら、一人で決めていた。
一人で隠して。
一人で抱えて。
一人で焦っていた。
でも今は違う。
相談できる相手がいる。
待ってくれる相手がいる。
それだけで、少し息がしやすかった。
「……ありがとな」
レンが小さく言う。
モズはニヒッと笑う。
「だからもっと頼れって言ったろ?」
ノンも隣で笑う。
「親友だからねぇ」
その言葉に。
レンの胸の奥で、小さな灯りが揺れた気がした。
ご覧頂きありがとうございます!
「面白い!」「続きが気になる!」と思ってくださったら、ページ下部にある【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にして応援していただけると、執筆の励みになります!ブックマーク登録もぜひよろしくお願いします!




