扉の向こう側
LINEスタンプ販売中!
「そのワン公、魔力ゼロにつき。」
で是非検索してみてください☆
40個入り120円です。
カチ。
カチ。
最後の金具がはまる音。
「よし」
モズは修理されたドアを軽く押す。
ギィ。
問題なく開く。
「お、完璧じゃん」
先ほどまで半壊していたとは思えないほど綺麗に戻った扉。
モズはしゃがむ。
床に並んだ工具達を見る。
「ありがとな、助かった」
そう言って。
一つ一つ拾い上げる。
魔法解除。
動きを止めた工具を丁寧に箱へ戻していく。
カチャ。
カチャ。
部屋には。
工具が触れる小さな音だけが響いていた。
レンはまだ。
正座したまま。
俯いていた。
モズは何も言わない。
聞かない。
ただ待っている。
ノンも同じ。
レンの隣。
ちょこんと正座したまま。
いつものように。
ただ傍にいる。
急かさない。
責めない。
待っている。
そして。
少しして。
「……」
レンが小さく息を吐いた。
観念したように。
ゆっくり口を開く。
「……ごめん」
小さな声。
いつものレンからは想像できないくらい。
弱々しい声だった。
モズとノンにしか聞こえないくらい。
細い声。
そして。
レンは。
深く頭を下げた。
正座したまま。
床に額がつきそうなくらい。
「……」
モズの目が少し見開く。
レンは顔を上げない。
そのまま続ける。
「ノンにも……」
「まだちゃんと言えてなかった」
ノンは静かに聞いていた。
「俺さ」
少し間。
「人間なんだ」
「……」
「神狼族でもなんでもない」
「魔力が少ないとかでもない」
「ただの……」
「普通の人」
言葉を探す。
不器用に。
一つずつ。
「バレたら」
「大学追い出されると思った」
「やっと入れた場所だったから」
「やっと……」
「楽しいって思えたから」
声が少し震える。
「それに」
「お前らに知られたら」
「もう一緒にいられないんじゃないかって」
「……怖かった」
モズは黙って聞いていた。
ノンも。
優しく目を細めているだけ。
「だから」
「言えなかった」
「ずっと」
「……騙してごめん」
もう一度。
深く頭を下げる。
沈黙。
数秒。
長く感じる時間。
その時、モズが動いた。
ゆっくり近づく。
レンの前。
しゃがみ込む。
そして。
「……」
口を開いた。
「なんだ」
「……」
「そんなことか」
「……え?」
レンの頭が。
少しだけ上がる。
モズを見る。
モズはいつものように。
そこにいた。
「いや」
「俺もっとヤバいこと想像したわ」
「実は世界滅ぼす魔王でしたー、とか」
レン。
「……」
「なんでだよ」
小さく返す。
いつものツッコミ。
モズは少し笑った。
そして。
表情を柔らかくする。
「俺さ」
「レン達に会ってから楽しいんだよ」
レンは顔を上げる。
「大学」
「去年までと違う」
「毎日バカやって」
「飯食って」
「怒られて」
「笑って」
少し照れくさそうに笑う。
「こう見えて」
「お前らのこと」
「大事に思ってんの」
「ほんとに」
レンは何も言えなかった。
モズがまっすぐ見る。
「だからさ」
「もっと俺らのこと頼れよ」
その一言。
ずっと。
一人で抱えていたもの。
隠して。
誤魔化して。
必死に守っていたもの。
それが。
少しずつ。
溶けていく気がした。
「……」
レンの目が少し潤む。
その横。
「レンくん」
ノンの声。
顔を上げる。
ふわっと。
薄桃色の髪が揺れる。
ノンがレンの顔を覗き込む。
優しい笑顔。
「私達」
「ワン公くんの親友だよ」
「……」
その瞬間。
壊れた気がした。
ずっと閉じていた。
心の扉が。
完全に。
肩に乗っていた重いものが。
消える。
「……」
レンは二人を見る。
そして。
小さく笑った。
八重歯が少し覗く。
「ありがとう」
心から。
そう思った。
それを見て。
モズも安心したように息を吐く。
そして。
いつもの顔に戻る。
ニヒッ。
人懐っこい笑顔。
「これからもよろしくな!」
レン。
少し笑う。
「……おう」
親友。
その言葉が。
胸に残る。
今まで以上に。
大切にしたいと思った。
この場所を。
この二人を。
その時。
ノンがぽつり。
「あ、でもねぇ」
二人が見る。
「ん?」
「私」
「なんとなく気づいてたよぉ?」
「……」
「……」
レン。
モズ。
同時に固まる。
「は?」
「マジ?」
ノンはいつもの顔。
「うん〜」
「だってぇ」
少し首を傾げる。
「レンくんの魔力」
「普通じゃなかったもん」
レン。
「いや言えよ!!」
完全復活。
ツッコミ。
ノンはクスクス笑う。
そして。
何気ない声で。
言った。
「それにねぇ」
「私のおじいちゃん」
間。
「人間だから」
「……」
「……」
今度は。
レンとモズ。
二人とも。
完全停止。
「「…………え?」」
ご覧頂きありがとうございます!
「面白い!」「続きが気になる!」と思ってくださったら、ページ下部にある【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にして応援していただけると、執筆の励みになります!ブックマーク登録もぜひよろしくお願いします!




