必要な物
「よし!! 集まったみたいだし、火を点けるぞ」
チェリオは草木を集めた場所に火打ち石を使う。小さな火花から草に着火して、焚き火の完成。
サマナとラビは野宿でしてたように、食材を木の枝に刺して、焚き火の近くに立てる。勿論、サマナ達も一角ウサギやキノコンの肉を焼くつもりだ。
「さてと……焼けるまで時間が掛かるし、話の続きをしよう。魔物も火を警戒して、近寄って来ないと思う。動物もそうだからな」
「他の参加者達に気付かれると思いますが、戦闘は禁止されてます。情報交換のために来る参加者がいるかも。勿論、選ぶ必要がありますけど」
チェリオとキララは焚き火周りに座る。先にラビの方が座ってたわけだがな。
「アイツ等は無視すればいいよ。他にも男二人組だね。フクロウコウジを使って、マッドベアラーがいる場所に行かせようとしたから」
情報交換をするなら、ガキ共三人組以外で邪魔しそうな参加者を教えておくべきだな。
サマナはラビの隣に座り、俺様を焚き火側に向けて、地面に突き刺した。外側の警戒ではなく、話に加わる形だ。言葉を発する事はしないだろうが……
「それに引っ掛かる事はなかったけど、マッドベアラーも移動してるもんだから、遭遇したんだよね。何とか身を隠して、やり過ごす事は出来たんだけどさ。アイツは本当に危険だよ。会って、すぐに分かるぐらいだから」
「……そんなに危険な相手なんですか」
「戦闘するのは危険だから、逃げるのが一番だね。……どうしたの? 何か落ち込んでない?」
マッドベアラーの話にキララだけでなく、チェリオも落ち込んだように表情が暗くなってるぞ。
「まさかだけど……マッドベアラーの素材が合格条件の」
「ち、違います!! だけど……関係があるんです」
キララは慌てたように言うが、完全に否定はしていない。
マッドベアラーのアイテムを入手するため、奴を撃破するのは容易じゃない。むしろ、今の俺様達だけでは不可能に近い気もする。
探索者試験で不可能な事をしないはず。
マッドベアラーは危険な存在として、逃げる前提で用意したと思っているんだが……
『関係があるという』というのは、フォレストバットにビービー、ビックワガタに蜂蜜みたいな関係か?
だとしても、マッドベアラーを餌にするやつがいたら、相当ヤバい魔物だぞ。ブックにもそんな魔物は載っていなかったはずだ。
「僕の合格に必要なアイテムは蜂蜜なんだが」
「蜂蜜!? 私も必要なアイテムを持つ魔物を誘き寄せるために蜂蜜が欲しくて」
チェリオの合格に必要なアイテムが蜂蜜か。サマナもビックワガタを誘き寄せるために必要としている。とはいえ、ビービーの巣から一つしか取れなくても、他の巣を見つければいい。仲違いするにはまだ早い。




