汚ッサンの土下座
「貴様!! 誰に向かって、そんな戯言をほざいてる!! 俺様の主、死霊術師のサマナ様だぞ。お前は呪われても仕方ない存在だ」
「ひっ!! ど、髑髏がしゃべって……色も変わった!! の、呪わないでください。お願いします」
髑髏の杖である俺様が話した事で、汚ッサンは怯え、即座に土下座をし始めた。
サマナが俺様を綺麗にしてくれたお陰で、感情による色の変化が分かるようになったようだ。
俺様は透明から赤色に変化。怒りの感情……契約者の扱いが悪ければ、そこは怒ってやるべきだからな。
色の変化により、汚ッサンも呪いが発動したと勘違いしてもおかしくはないしな。
「ガイコツさん。それぐらいで許してあげてください。オジサンは悪い人じゃないんです。孤児院を出てから、この小屋に泊まる事を許してくれたから」
お前は聖人か何かか!? 契約者ではあるが、思わず言いたくなったわ。
汚ッサンはサマナに仕事を押し付けていたはずだ。それで楽をしてたと、本人の口から出ているのに、それを許すんだからな。
俺様の呪いで嘘も吐けない。本当にサマナはそう思ってるからたちが悪い。
契約者にする奴を間違ったか? いや、彼女だからこそ契約してくれたわけだ。
普通の奴だったら、警戒する。むしろ、汚ッサンみたいに売ろうとするだろう。
素直過ぎて、サマナが騙されないように俺様が注意しないと駄目だな。
「はぁ……お前はこれから墓掃除を……墓守の仕事を欠かす事は許されない。幽霊達が見張っているからな。出来なければ……」
「わ、分かりました」
汚ッサンは地面に何度もぶつけるぐらいに頭を下げた。
「これぐらいはいいだろ? アイツ等のためでもあるからな」
サマナがここからいなくなるのなら、墓場が汚くなる。それは幽霊達も嫌だろうからな。奴等が気にしなくても、コイツが気にしそうだ。
「は、はい。幽霊さん達のためだったら。オジサンもお願いします」
サマナは土下座している汚ッサンに頭を下げた。
「頭を下げる必要はないぞ。コイツの罰なんだからな。探索者になるためにも、図々しさは必要になるはずだぞ」
「が、頑張ります!!」
絶対に分かっていないな。
「それでは……私の荷物を持っていきますから。今までありがとうございました」
サマナは再度頭を下げて、ボロボロの鞄を取り、小屋から離れる。
「あの……オジサンの呪いは消えたんですよね?」
ボロ小屋から少し離れてから、心配そうな顔てで俺様を見てくる。
「何だ? 今からでも呪いをかけてくるか?」
「ガイコツさん!!」
サマナにそんなつもりがない事は、汚ッサンを許した時に分かっている。
「冗談だ。呪いを掛ける事自体がデタラメだからな。俺様にそんな力はないぞ」
「そ、そうなんですか!! オジサンも怯えてたから」
「こんな姿で、喋ったわけだからな。幽霊の声は死霊術師しか聴こえない。俺様の声が奴に聞こえたのは、サマナと契約したからだな」
幽霊達の声は死霊術師しか聞こえない。俺様の声もそれに該当する可能性はある。
試した事がないからな。それが他者にも聴こえるのなら、契約した恩恵でもあるわけだ。




