墓守のサマナ
「ご、ゴメンなさい。最初に見る外の景色がこれで」
「サマナが謝る事じゃないぞ。アイツ等がいた事も、お前が選ばれた理由も理解出来たわ。ここは墓地になっていたのか」
俺様の目に広がる光景は墓、墓、墓。ここが墓地だとすぐに分かる。屋敷は年月と共に壊されたわけだ。
幽霊達がここにいるのも当然といえば、当然だな。俺様の方が幽霊達にとっては異物だったわけだ。
幽霊達もそれぞれの墓で休んでいそうではある。
「はい。孤児院を追い出されて、墓守の仕事をやってたんです。そこで幽霊達と色々と話してました」
サマナは指差す方向にボロボロの小屋がある。そこが墓守の住居なんだろう。
職業適性が死霊術師だったのなら、墓守の仕事は適任ではあるか。
だとしても、サマナの姿を見ると、そこまでの賃金は貰えてないな。
ここから俺様の魔法と知識で、コイツを探索者に……そのトップにしてやるところだが……彼女の願いを聞いてないな。探索者になりたいだけじゃないだろ。
「そういえば」
「あの……小屋に寄ってもいいですか?」
俺様の言葉とサマナの言葉が重なる。ここは契約者である彼女の言葉を優先してやろう。
「構わん。あの場所に置いてる物もあるだろうからな」
「墓守のオジサンに挨拶をしたいと思って。私がいなくなったら、オジサン一人になるから。後は鞄が一つ」
「……なるほどな」
サマナ一人に墓守の仕事を任せる事はないか。
とはいえ、オジサンとやらは死霊術師ではないな。それだったら、幽霊達がサマナよりも先に連れて来そうだ。
「戻りました」
「遅いぞ。何処かでサボってたのか? ちゃんとしないと飯は渡せないからな」
サマナがボロ小屋には入ると、汚いオッサンが朝から酒を飲んでいる。
小屋の中にはテーブルと机、ベッドが一つ。後は酒瓶が幾つも転がっているだけ。
いや……隅の方にボロ布があり、床に皿があるか。
そこが誰の場所なのか容易に想像出来るな。そして、汚いオッサンは屑という事がな。サマナも不幸過ぎないか?
「……ん? その姿はどうした? 何処で盗んできたのか?」
汚ッサンはサマナの姿が違ってくる事に気付き、ジロジロと見てくる。
「そんな事はしないです。ガイコツさんから頂いた物です。それで……探索者になるため、ここから出ていきます」
「な、何だと!! 仕事を分け与えてやったのに。楽が出来なくなるじゃないか」
サマナの門出を汚ッサンは喜ぶどころか、許すつもりはなさそうだ。
彼女に仕事をやらせて、自分は楽をしてたんだろう。そして、最低限の賃金も渡さず、飯とこの小屋に居させただけだな。
「ふん!! 良いだろう。格好が良くなるだけで、探索者になれるものかよ。その代わり、餞別にその綺麗な髑髏の杖を寄越せ。売れば、金にはなるだろうからな」
汚ッサンがサマナに迫る。
奴は俺様に目を付けたらしい。サマナが俺様を綺麗にしてくれたお陰だ。七色に輝く水晶に戻っているに違いない。
そんな状態で、こんな奴に触れられたくもない。しかも、売ろうとするなど以ての外だ!!




